前回に引き続き、秋吉家シリーズのセリフや背景及び舞台として
登場する店舗等の名前から秋吉家のある地域を検証してみよう。
− 作品登場箇所 −
2000年3月末日現在における秋吉家シリーズ全編で登場し、場所が特定できそうな店舗・医療機関・学校等をピックアップしてみると別表1の通りである。その内、「名称」が記載されている店舗・施設等を「調査ファイル006.」で検証した「豊橋市・豊川市・小坂井町」で調べると以下の通りであった。
店舗・施設名 | 調査結果 |
107 | 該当無し |
AMUS | 該当無し |
BOOK21 | 該当無し |
BOOKS飛島 | 該当無し |
グランドホテル | 豊橋グランドホテル 豊川グランドホテル |
さくら保育園 | 1箇所 |
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店舗・施設名 | 調査結果 |
酒げ夢 | 該当無し |
鈴木産婦人科 | 該当無し |
総合病院 | 該当無し |
保険センター | 該当無し |
牧田園 | 1箇所 |
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前回の地理地名に比べると該当個所の無いものが多いが、作品世界がフィクションであり架空のものである以上、当然の結果とも言えるであろう。なお、「107」は明らかに東京・渋谷等で見られるファッションビル「109」を模して描かれているものと思われるが、今回の調査地域はおろか愛知県下に「109」の出店は確認出来なかった。
− 現地調査 (1)−
調査で上がった3箇所にて現地調査を行った結果は以下の通りである。
<グランドホテル> |
- 豊橋グランドホテル - | - 豊川グランドホテル - |
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水嶋通と山本真奈美の結婚式会場として登場する「グランドホテル」だが、豊橋・豊川の両グランドホテル共に、せかキラ5巻77p2コマ目に描写されるような構図が得られる構造ではなかった。また、本庄家より車で「グランドホテル」まで移動しているが、始点である本庄家の場所も移動した時間や距離も解らないため作品世界中での地理的関係が掴みにくいこともあって、どちらかのグランドホテルが「名称のモデルである可能性もあるホテル」と考えるのが妥当な線だと思われる。 |
後日調査により、作品に描写された構図とほぼ同一のホテルが豊橋市内に存在することが確認された。当該ホテルは「ホテル日航豊橋」で、作中描写よりやや高い30階建てではあるが主構造物の特徴的な形状や看板の位置及び中庭にガーデンチャペルがあること、更には後述する「ヘヤーファッションショー会場」からの推定所要時間等から、このホテルが作中に登場する「グランドホテル」の位置的・構造的モデルであると思われる。ただし、当該ホテルの名称は過去数度変更されており、水嶋通・山本真奈美や真紀・万葉の結婚式を行った時代の名称は「ホリデイ・イン豊橋」だったものと思われる。 なお、この建築物を所有する会社((株)ホリデイタワー)は2002年5月13日に民事再生手続き開始を申請し、事実上倒産している。 | |
<さくら保育園> |
この「さくら保育園」もせかキラ1巻8p等のような門柱が無く、外観上のモデルであるとは言い難い。場所的な説明もつかないので「名称だけのモデル」もしくは「単なる偶然」であると考えて良いだろう。 | |
<牧田園> |
せかキラ7巻110p3コマ目に徹のセリフ(…というより書き文字に近く、独り言として解釈した方が良いだろう)として登場した「牧田園の茶」。このお茶を売っている「牧田園」は、外観や場所等は描かれていないので、秋吉家周辺又は本庄家周辺にあるのかどうかは全くもって不明である。但し、調査によると「牧田園」の名称を持つ店舗は日本国内でもこの1カ所だけなので、徹が飲んでいたお茶は、ここのお茶であると考えて間違いないであろう。
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− 現地調査 (2)−
今回調査した「店舗・施設名」が登場している場所の他、以前の「調査ファイル002.」等からの情報を基に「豊橋市・豊川市・小坂井町」内を巡回調査した結果、モデルになったと思われる場所が数カ所見つかっているので、あわせて報告しよう。
<総合病院> |
依里子が千鶴と出会った場所でもあり、手首を切ったあづみが担ぎ込まれた事もある「総合病院」だが、調査ファイル002.の資料を参考にすると該当個所はおのずと1つに絞られた。ただし周囲の風景を見て解るとおり病院周辺は平地であり、「詩を聴かせて」79p3コマ目に登場する「心臓破りの坂」に該当する地形を見ることは出来なかった。 |
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<某喫茶店> |
せかキラ1巻25p5コマ目に登場する、万葉が真紀を呼び出した喫茶店と思われる店内。椅子及び照明装置の形状と窓の配置が作中と酷似している。写真中央通路側が真紀の座った席で、その右(奥)通路側が万葉の座った席。 | |
<BOOK21> |
せかキラ2巻35p4コマ目に登場し、新が雑誌「SA−SHA」に掲載された真紀と万葉の写真を見ることになる、書店「BOOK21」と思わしき店舗。当該地域に系列店が7店舗確認されているが、写真はその内の1店。 | |
参考までに、キャラクターと同じ家名を持つ家が調査対象地域に何件あるかを調べてみたところ、少なくとも秋吉家2軒、本庄家15軒、犬飼家20軒、安井家60軒、佐久間家61軒、松岡家76軒、大塚家104軒及び安藤家369軒が存在するという結果になった。ただし、当然の事ながらすべての家が作品とは何ら関係ないものと思われる。
− 現地調査 (3)−
また、上記3地区以外で作中に登場した店舗・建築物と同じ名称・構造の建物が確認されたのでこれも紹介しよう。
<ヘアーファッションショー会場> |
せかキラ9巻174p1コマ目に登場するショー会場の外観(一般入り口)。柱に設置されている屋外用照明の形状等が作中と一致する。 | |
同181p3コマ目で紀一・カレンと沙紀が立っていた渡り廊下(右)及び183p2コマ目の管理棟へ通じる扉(写真左)。 |
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<酒げ夢> |
せかキラ4巻105p3コマ目に登場した「居酒や酒げ夢」。同一名称の店舗を愛知県下に1件発見したが、店舗構造と作中描写に同一性は見られず、単に名称が偶然一致したものと考えられる。 | |
− Column:「牧田園の茶」 − |
徹のセリフ「牧田園の茶はうまい」で登場する「牧田園」。インターネットタウンページで検索すると「茶卸・販売」の項目に該当個所が全国でも1件だけ、しかも今回の調査対象区域内にありましたので、早速現地へ向かってみることに…。作中で湯呑み茶碗に入れられてくる描写や屋号の雰囲気からも察するとおり、日本茶の卸し・小売りをされている店舗でした。 | |
店内では煎茶の他に、抹茶・麦茶及び急須等の茶道具も販売されている他、おかき・煎餅類、贈答用に詰め合わせれたお茶や海苔のセット等も用意されているようです。 また、緑茶類は都度量り売り(袋売り)される他にも、缶に真空・窒素密封された物も用意されています。 | |
また、御主人のお話によると、隣に焼き物を製造・販売する「寓(GU-)」という店舗も併設されており、こちらの方は将来的にインターネットによる宣伝等も計画されておられるとのことです。 | |
さて、一般的に常飲されるお茶の格と言う物がよく解らないのですが、1000円/100g前後の物ではないかと想像し、取材に託つけて500円/100gのお茶(写真・袋詰め)と、1000円/100g(同・缶入り)のお茶を購入してきました。袋詰めの物は値段による外見の違いは無いでしょうが、缶入りの物はグレードや種類によって缶に巻かれている包装紙や商品名が違うようです。また伺いそびれた為、未確認ですが小売りは真空パックにしてもらうことも可能とか、高い物では5000円/100gのお茶もあるとか…。 | |
日本国内に「牧田園」の屋号を持ち、お茶の販売をしている店舗が1カ所しか無い以上、徹の飲んでいたお茶はここのお茶以外に無いものと思われますので、「徹が旨いと言うお茶」を飲んでみるのもファンとして一興では無いでしょうか。ただし、お店の方に「徹の飲んでいたお茶を下さい」と言っても通じませんので御注意願います。 | | |
| <牧田園> |
住所:愛知県豊川市桜木通三丁目一番地 Tel:05338-6-5768 定休日:毎週水曜 | ※牧田園の御主人より店舗・商品の写真掲載について許可を頂いております。 |
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