秋吉家シリーズのセリフや背景及び舞台として登場する河川・地名等
地理的な物及び、学校・店舗。はたしてこれらは実際に存在するのだろうか?
まずは、地名的側面から調査してみよう。
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調査ファイル002.のレポートにおいて秋吉家最寄り駅は解明済みであるが、当サイトにおいては是を公開しない方針である。そこで、まずは「秋吉家最寄り駅がある場所」ではなく、調査ファイル001.〜002.に登場した駅がどこにあるのを地理的に最初から解説していこう。
調査ファイル001.において既に「秋吉家最寄り駅」が名古屋鉄道名古屋本線の東岡崎駅よりも東側に存在することが明らかになっているので、東岡崎以東の駅所在地をNTTのタウンページ等より調べてみよう。
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この様に、名古屋本線・豊川線は東岡崎駅以東、岡崎市・音羽町・豊川市・小坂井町及び豊橋市を通っており、あらためて調べた愛知県及び上記の3市2町の概要は下記の通りである。
愛知県 |
日本列島のほぼ中央に位置し、東西106km・南北94km、面積は5,152km2で全国28番目の広さを持つ。平地は西部から南部にかけての濃尾平野・東部の豊橋平野により形成され、北東部は1,000m級の山地である。江戸時代には尾張国・三河国の2国に別れており、明治4年の廃藩置県の際に尾張は名古屋県に、三河は額田県に改められたが、翌明治5年4月に名古屋県が愛知県に改称・同年11月に額田県を合併し、現在の愛知県となった。 県の花:カキツバタ,県の木:ハナノキ,県の鳥:コノハズク,県の魚:クルマエビ 人口:約700万人 |
−地図の説明− 青系色:尾張地方 緑系色:三河地方 三河地方内の濃色部: 左上より岡崎市,音羽町,豊川市,小坂井町,豊橋市 ※尾張・三河の区分は西日本電信電話株式会社が発行する「ハローページ」の区分を参照にし、「西三河版」及び「東三河版」に収録された38市町村を「三河地方」とした。 |
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まず、2000年2月末日現在における秋吉家シリーズ全編で登場する「地理」に関連する言葉を検索してみよう。
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残念ながら、上記の3点はいずれも作中の背景や舞台として登場してはいない。しかし、せかキラ1巻118p4コマ目を注目してみると、「豊川放水路に沈めっぞ」という万葉の台詞に対し、麻子が「めっちゃローカルネタだな…」というコメントを出しているのである。つまり、万葉や麻子が通う「西宮女子高等学校」の生活圏内…少なくとも同じ行政区域内に「豊川放水路」があると思われるのである。
調査で上がった3箇所(及び関連箇所)にて現地調査を行った結果は以下の通りである。
<豊川・豊川稲荷(駅)> | |
- 名古屋鉄道・豊川稲荷駅 - 名古屋鉄道豊川線の終着駅。普段は閑散としているものの、毎年12月〜翌年2月頃までは豊川稲荷への参拝客でかなり賑やう。写真からは見えないが、1面2線の島式ホームで、改札の内側に豊川稲荷関連の土産物屋がある。 | |
- JR東海・豊川駅 - 名鉄豊川稲荷駅に隣接するJR飯田線の駅。飯田線西側・東側を渡る自由通路と駅舎が一体構造となっており、改札口は2階にある。比較的近年立て替えられた模様。 | |
- 豊川稲荷 - 駅前広場より約300m進むと、日本三大稲荷の一つに数えられ商売繁盛の神様として全国的に知られる豊川稲荷がある。建築に20年以上を費やした総欅造りの本殿や豊川閣寺寶館など大小100余棟の伽藍建物が建築されている。 なお「稲荷」とは穀物の神の事であり、キツネはその使いとされている。が、作中に登場する松岡扇子嬢の狐との関連性は薄いものと予想される。 |
<豊橋駅> | |
- JR豊橋駅 - 名古屋鉄道名古屋本線の終着駅でもありJR東海・東海道本線・東海道新幹線の停車駅でもある。なお、歴史的経緯によりJR飯田線の豊橋〜小坂井間と名古屋鉄道の豊橋〜伊奈間は豊川放水路右岸にある信号所より線路を共有しており、豊橋駅構内においては名古屋鉄道の車両とJRの車両が同じプラットホームに並ぶ。 |
<豊川放水路> | |
愛知県北設楽郡設楽町地内の段戸山(標高1,152m)にその水源を発する豊川は、河口の三河湾から約11km上流まで大きく蛇行しており、特に豊橋の市街地で洪水の発生しやすい形状をしている。このため江戸時代より「霞提」と呼ばれる「あらかじめ洪水時の大水を逃がす場所」を用意し、市街地を洪水から守っていたが、抜本的治水対策として洪水時の大水を分流させる事を目的とし、豊川が大きく蛇行をはじめる豊川市行明町付近より三河湾までを約6kmの直線で結ぶ「放水路」が昭和12年に計画された。これが「豊川放水路」であり、翌昭和13年に起工し27年の歳月をかけ昭和40年に完成した。 | |
豊川放水路への分岐点。写真左手が豊川本流、右手の水門以降が豊川放水路である。 | |
豊川放水路への水門。写真右が豊川本流側、左手の水門以降が豊川放水路であり、水門構造物と一体の橋(県道)が通っている。なお、水門横に建設省豊川工事事務所豊川出張所があり、豊川の治水事業などを紹介する案内板が設置されている。 | |
水門近くの下流側。調査時期が12月で乾水期であるという事と、河川工事を行っている関係で水路内にあまり水は流されておらず、川底がかなり露呈している。作中での万葉台詞が登場した季節も晩秋であり、これ程でないにせよかなり水位は低いものと予想されるため、作中の時期に「豊川放水路に沈め」る為には、かなり下流に行く必要があると思われる。 | |
上の写真より約5km下流の豊川放水路と豊川本流の再合流点で、写真中央部の鉄塔左側が豊川放水路、右側が豊川本流である。河口にも近いこともあり上流の水量に関係なく水位を確保しているので、十分沈めることも可能であろう。 | |
更に500mほど下ると豊川の河口に到達する。なお、豊川・豊川放水路は建設省の、河口から先の三河湾は愛知県の管轄であり、写真にある紅白のペイント部分が境界線である。 |
豊川を河口まで下ると三河湾に行き当たる。また、豊川に限らず三河地方にある豊橋駅以西の河川を調べてみると、佐奈川・白川・音羽川・御津川から矢作古川・矢作川・逢妻川まで、すべての河川が三河湾に注いでいる事が解る。であれば、せかキラ6巻148pに登場する海も三河湾内の海岸なのでは無いだろうか?
<三河湾> | |
知多半島と渥美半島に囲まれ、北西部の矢作川などが注ぐ衣浦(知多)湾・東部の豊川などが注ぐ渥美湾から構成される。古くから交通・物流の拠点や海産物生産の場及び釣り・海水浴等レジャーの場として親しまれているが、元々地形的に海水の出入りが少ないうえ近年の生活排水流入量増加等による富栄養化が進行している等、様々な問題を抱えている。 |
三河湾沿いの小坂井町・御津町又は蒲郡市のいずれかの海岸がモデルだと思われるのだが、作中の登場時間が夜間で背景などが描写されていない事もあり、現状では推測の域を出ない。
「西女」の生活圏内に「豊川放水路」があるのであれば、逆説的に「豊川放水路」の流域に「西女」のモデルがあると考えても良いのではないだろうか。この点を考慮し、次回は作中に登場する店舗名等を豊川放水路流域の「豊橋市・豊川市・小坂井町」付近から検索してみよう。