乗り物に乗れば、普通は降りるもの…
乗車駅があれば、当然下車駅が存在するはずである。
では、東岡崎駅から列車に乗った彼らは、どこの駅で降りたのであろうか?
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既に"ファイル001"から
事が解っているので、これを考慮の上"ファイル001"と同様に、秋吉家の最寄り駅を「Z」駅として、既刊の単行本から下車駅の情報を読み取ってみよう。
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これらの情報からZ駅は単線区間で行き違い設備のある路線上の途中停車駅である可能性が高い。では、東岡崎を出た列車が単線区間を走る場所があるのだろうか?そこで、ファイル001と同様の手法で時間を区切って東岡崎〜豊橋間と国府〜豊川稲荷間の列車を調べダイヤグラム(列車運行表)と呼ばれる表に書き換えてみる事にした。
まず、東岡崎〜豊橋間平日8時〜9時台のダイヤグラムを見てみよう。この表において縦軸は時間、横軸は駅を表している。斜めの線はそれぞれ走行している列車を表しており、赤色は特急・青色は急行・黒は普通列車で、右下へ向かっている線が豊川方面行き・右上に向かっている線が東岡崎方面行きの列車である。そして、右上がりの線と右下がりの線が交差している場所でお互いの列車がすれ違っていることになるのだが、横軸の上(=駅)以外で交差している場合は、お互いの列車が走行しながらすれ違っている。つまり、平行する横軸間(=駅間)で列車が交差しているということは、その駅間には上りと下りの2本レールがある(=複線以上である)ということになるのである。ここで、もう一度表を見ると、東岡崎〜豊橋間の全ての駅間で1回以上列車のすれ違いが行われている。つまり、東岡崎〜豊橋間は全線複線であると考えられるので、単行本情報の条件とは一致しないのである。
では、豊川線はどうだろうか?同様に、国府〜豊川稲荷間平日8時〜9時台のダイヤグラムを見てみると、駅間でのすれ違いは八幡〜諏訪町間だけであることがわかるので、八幡〜諏訪町間は複線で、国府〜八幡間と諏訪町〜豊川稲荷間は単線である可能性があり、単行本情報の条件を満たす区間がある。
これにより、Z駅は豊川線の駅である可能性が高くなった。無論、単行本情報の「豊川稲荷行きの急行列車が走る」という条件も豊川線は満たしている。
さらに、「終着駅」で無いとすればZ駅は豊川線の「八幡」「諏訪町」「稲荷口」の3駅の何れかである可能性が高いと言えるのである。そこで、もう一度名古屋鉄道へ赴き現地調査を敢行した。
現地において、駅の形状及び周辺の状態を中心に調査を行った結果、以下のことが判明した。
国府駅より豊川線に入り、最初の駅である八幡駅は、島式ホームで進行方向右側のドアが開く駅であるが、高架駅であり単行本情報に一致しない。 | |
次の諏訪町駅は、片側ホームですれ違い設備を持たないため、単行本情報に一致しない。 | |
最後の稲荷口駅はすれ違い設備を持つ島式ホームの駅で、地上にありすぐそばの踏切は車が通行できるだけの広さがある。また、駅前後は単線になっている。 | |
なお、八幡〜諏訪町間に駅の無いすれ違い設備(信号所)があり、両駅の間の方向へ向かう列車は一度単線の路線を走っていることが判明したが、Z駅を探す条件には関係がない。
現地調査により、豊川線内でZ駅の条件を満たす駅は「稲荷口駅」だけである事が解った。
しかし、本当に稲荷口駅なのだろうか?もう一度「365」10p7コマ目と稲荷口駅の写真を見比べてみると、作中では踏切の両側近接に2〜3階建ての建築物らしき線が描かれているのに対し、稲荷口駅の踏切の左右近接には建築物は存在しない。また、作中ではホームから駅外へでる踏切に遮断機が描かれているのに対し、写真では警報機らしき構造物があるものの遮断機は無く、逆に作中にない待合室が存在する。このコマの背景が簡略化されているのだとしても、これほどの相違がある以上稲荷口駅がZ駅であるとは言い切れない。そして、豊川線3駅で無い以上、豊川線沿線であるとも言い切れないのである。
似た駅が無い以上、Z駅が架空の駅であると結論つけることは容易い。
だが、そう簡単に架空の駅であると結論づけても良いものであろうか?あれほど詳細に描かれていた東岡崎駅に対して、同時期に描かれている秋吉家の最寄り駅が「まったく架空の存在でモデルすら実在しない駅」であるとは非常に考えにくくないだろうか?そこで、もう一度資料を洗いなおし名古屋鉄道全線を再調査した結果、見落としていた重大な事実が浮かび上がったのである。それは
(以下431文字非公開)
駅が、「秋吉家の最寄り駅」であると推測し、この駅を中心に更なる秋吉Worldを探索することとした。
補足.名古屋本線・豊川線の実証 |