時は2203年
一人の少女がこの地に降り立ちました。
彼女は未来からの来訪者。
母を捜して三千里
それはともかくPOD作って宇宙軍に取り入って何をするつもりなんですか?まぁ大体の予想は付きますがそこまでしますか普通って気がします。
でも不思議なことにみんなのベクトルは木星の新しく発見されたプラントに向かっているような気がします。
さてさてそこに何があるのやら
おっとその前にもう一人の重要なキープレイヤーを紹介しないと(笑)
ああ、これって一応黒プリの続編だったりそうでなかったりしますのでよろしく〜
それはある晴れた日のことであった。
「お〜いヒカル、遊びに行こうぜ〜」
「もう少しで原稿終わるから」
手持ち無沙汰なリョーコがヒカルを誘ったが本人は原稿にかじりついたままだった。
遊びに行こうと約束していたのだがヒカルの原稿が上がらなかったのだ。
「暇だ〜」
「ならコンビニにでも行ってイチゴ牛乳を買ってきて〜」
「んなめんどくさい」
「おごってあげるから」
ヒカルはポンとリョーコに小銭入れを投げる。
う、重い。今日の自分の財布の中身よりも重いかもしれない。
「わかったよ」
「ちゃんと冷えているのね〜」
ガチャリ
さぁうるさいのがコンビニに行っている間に仕上げよう。
リョーコのことだ、どうせコンビニに行ったら雑誌の2、3冊ぐらい立ち読みしてくるに違いない。それまでには原稿も上がるだろう。
そうヒカルはぼんやりと思っていた。
しかしそれは甘い考えだった。
バタン!
ドタドタドタ!
「お、おい、ヒカル!」
「ちょっと静かにしてよ」
「大変なんだって!」
「なによリョーコ、コンビニに行ったんじゃないの?」
「行くつもりだったんだけど、ちょっと表で」
「表でなによ?」
「行き倒れを拾った」
「行き倒れ?」
ヒカルが改めてリョーコの方を見ると彼女は抱えるように一人の女性を部屋に引きずり込んでいた。
目にはヒカルのかけているのよりさらに牛乳ビンの底の様な眼鏡をかけている。
黒髪をポニーテールに結わえている。
そして服装は和服に袴、なのに足下は足袋に草履ではなくソックスにパンプスであった。
しかも極めつけは手に持った三尺半の棒状の包みであった。
普通に考えれば木刀か刀が入っているように思える。
この全てがミスマッチな行き倒れの少女は、眼鏡を外せばなかなかの美人であった。
「サ○ラ大戦のコスプレかなにかかなぁ?」
「なんだよ、そりゃ」
「さくらと紅蘭でも混じってるのかなぁ」
「何でも良いから助けようぜ!」
「あ、そうね」
とりあえず感じた素朴な疑問は置いておくとして二人はその少女を介抱した。
数十分後・・・
「ふぅ、ごちそうさまでした」
「どういたしまして」
「お〜よく食べたなぁ」
リョーコは底が見える炊飯ジャーを見て溜息をついた。
どうやら行き倒れの女の子は単に空腹だったらしい。
「このたびは命を救っていただき、まことにありがとうございました」
「いや単にご飯をご馳走しただけだから」
少女は深々と三つ指をついて礼をする。逆にこっちの方が恐縮してしまう。
「妾はこういう者でございます」
「名刺?」
「どれどれ」
「「ゲ!」」
少女の差し出した名刺を覗き込んで二人は驚く。
『ソードキャプター・サクラ』
すごい妖しい。パチもんアニメみたいだ。
そのうさんくささはリョーコ達の長い沈黙からも明らかであろう。
「服装に比べてやたら可愛いお名前みたいですけど?」
「芸名ですわ。最近はハイカラでないと一般受けしないと父に言われましたので」
「・・・ちなみにソードキャプターって名字か?」
「いえ、それは職業ですわ」
「職業・・・?」
「あ、多分刀のコレクターだよ」
「ええ、まぁそんなところですわ♪」
リョーコの疑問にヒカルは耳打ちする。本人も認めているのでそんなところであろう。
「ところで馳走になった御足なのですが生憎持ち合わせがございません」
「御足?」
「お金の事よ」
リョーコに耳打ちするヒカル。どうもこの少女の物言いは時代劇がかっているらしい。
「ええ、路銀に事欠く有様で今回も空腹で行き倒れになってしまって・・・」
「旅でもしてるの?」
「ええ、実は許嫁を探しているのです」
「許嫁・・・ですか?」
「ええ、諸国漫遊です」
「漫遊ねぇ」
「ええ、父の遺言なのです。かれこれ2年間も探しているのですがようとして行方知れずでして。ついには路銀も尽きてしまったのです・・・」
今時父親の遺言で許嫁を決められてしまい、それを探す旅をしているなんて健気というか可哀想というか・・・
「仕方がないのでコレクションを切り売りしながら生活をしているのですがなかなか売れなくて・・・」
「コレクション?」
「ええ、御足の代わりにどうですか?」
どこに仕舞ってあったのか、取り出したのは刀やナイフの数々
思わずリョーコとヒカルは圧倒された。
「こちらは連合軍御用達アーミーナイフ、こちらは木連愛用のドスですわ」
「は、はぁ・・・」
「ゾーリンゲンのナイフもありますし♪」
「いや・・・」
軍用ナイフを見せられても軍事オタク以外欲しがる奴はいないだろう。
「お気に召さないですか?
ならばこちらなどはどうでしょう?
虎徹の20作目、あの新撰組も使ったという一品ですわ♪」
サクラが差し出すのは見事な日本刀ではあるが・・・
胡散臭〜〜とリョーコ達は目をひそめた。
「あの〜ごく普通に包丁とか果物ナイフがあれば・・・」
「ならばこの出刃包丁などどうでしょう。
通称鬼切り出刃!まな板ですら真っ二つの逸品ですわ♪」
「・・・遠慮します」
『まな板を切ったら意味がないだろう』
と口元まで出かかったが、異様にギラギラ光る包丁に頬ずりする少女に何も言えないリョーコ達であった。
結局取り出した刀のうんちくをさんざん語られたが、危ないコレクション故に欲しいモノが見つかるはずもなく丁重なお断りをして終了した。
「申し訳ございません」
「いえ、気にしないで」
「今度こそ皆さんに気に入っていただけるような見事な妖刀を探して参りますわ!」
「いや、いらないって」
「そうですか?人を切り放題ですよ?」
「切り放題って・・・」
ヒカル達は段々彼女がどんな人物かわかってきた。
極度の刃物マニアの様だ。しかも相当危ない(苦笑)
「ソードキャプター失格です」
「いや、別に落胆しなくても良いから」
「では体でお返ししましょう」
「か、体!?」
リョーコはドッキリとする!
リョーコ妄想中・・・
「リョーコ、何危ないことを考えてるの?」
「い、いや、そんなことはないぞ!」
「真っ赤になって否定するところが妖しい〜」
「ば、バカ野郎!こいつが体を使って恩を返したいっていうのは肉体労働で返したいっていう意味だよ!なぁ?」
リョーコは大慌てでサクラに同意を求める。
「ええ、実は副業をしておりまして・・・」
「そらみろ」
「で、こちらの方でお払いしようかと」
サクラは名刺を差し出す。
その名刺に書いてあった内容とは・・・
『早い、安い、上手い!
安全、安心、確実、秘密厳守!
いつもニコニコ現金払い!
愛と信頼をお届けします』
と、ここまではいい。問題はこの後である。
『北辰印のマダーライセンス・サクラ
あなたの仇敵を暗殺して差し上げますわ♪』
・・・おいおい
「今なら特別サービス期間につき10%オフキャンペーン中です。
もちろんお二人のご依頼なら30%オフで対応させていただきますわ♪」
「金取るのかよ・・・」
「あなた、殺し屋?」
「今度始めようかと思っているんですけど、なかなかお客さんが付かなくて・・・
やはりキャッチフレーズの『月に代わって人誅よ♪』ってのがダメなのでしょうか?」
「流行らなくて正解だよ・・・」
「ちなみに本当にマダーライセンスとか持ってる?」
「箔が付くと思って通信教育で♪」
「通信教育?」
「ええ、国から援助もあるってお話で、資格取得時には学費も全額戻ってくるらしいんですよ♪」
朗らかに笑うサクラに対し二人はというと・・・
『騙されてる?』
『ああ、騙されてるな』
『可哀想に、学費・・・』
『なけなしの金だってのに・・・戻ってこないな、こりゃ』
彼女が不憫でそっと涙を流すのであった。
一方その頃、宇宙軍におけるシオンの交渉は無事に終わったようであった。
「あの高名なアマガワ・アキさんにテンカワさんも乗っていただけるというのは大歓迎なのですが、アルストロメリア一台となると・・・」
「良いじゃないですか♪どうせ今回はホウメイさんも乗ってくれないんでしょ?
食生活の向上は円満な職場環境整備の第一歩です、ってプロスペクターさんも仰っていますし♪」
「・・・一応上司に打診しておきます」
さすがはエリナの交渉技術とユリカの押しの強さを持つ娘。
あっさりとテンクウ・ケンを懐柔した。
となったらとりあえず念押しをしておくことがあるのでシオンはケンにひそひそ話を持ちかけた。
「あ、ここだけの話なんですけど」
「なんでしょうか?」
「私、偽名を使わしていただきたいんですよ」
「偽名・・・ですか?」
「ええ、テンカワ・シオンという事にして下さい。
兄妹ということで♪」
「どうしてまた・・・」
いくらなんでもそれはまずいだろう、とケンも思う。
だが、そこは口八丁手八丁、交渉上手の彼女にかかればお人好しのケンなどひとたまりもなかった。
「そのぉ〜今、私って追われてるんですよ」
「追われてる?」
「ええ、実は『我が生涯の伴侶♪』とかストーカー気味に迫られているんです。
それで住むところを転々としてるんですよ」
「それはご苦労されておりますね」
目頭にハンカチを当てて泣くシオンに痛く同情するが、同情されている本人のお尻から黒い尻尾が生えていることをケンは気づかない(笑)
行ける!と感じたらドンドン要求するのが我らが主人公の性分だった。
「出来ればアキト君と同室で♪」
「え!?そ、それはまずいのでは・・・」
確かに男女同衾はさすがにまずいだろう。
「でも兄妹ですから♪」
「いや、しかし・・・」
「大丈夫、兄妹ですから♪」
「ですが・・・」
「ラピも一緒で♪」
「いや、さすがにそれは・・・」
「彼女はメイドだから問題ないですよ♪」
「メイドとかそういう問題では・・・」
『兄妹・・・なら仕方がないのか?でも・・・』
『その前にテンクウ艦長は兄妹という所はスルーでかまわないのでしょうか?
まぁ当時を知らないテンクウ艦長ならアキ様がアキト様より年上だったという事実を知らないかも知れませんねぇ・・・』
『パパと一緒の部屋♪』
と、シオン側から見れば全然ノープロブレムなのだが、自分がアキのフリをしているという事実を他人がどう見ているかを全然考えていない様子である。
しかしこの言葉に反応した人物がいた。
「ナナコさん!それはダメだぁぁぁ!!!」
「げ、元一朗ちゃん!?」
「先輩、生きてたんですか?」
「生きてるわ!」
がばっと起きあがった月臣元一朗。
瓦礫の山から復活。
「ダメだ!ダメだ!結婚前の婦女子が男子と同じ部屋に、ど、ど、ど、同棲などと!」
やたら同棲の二文字に真っ赤になって口ごもる月臣。
木連男子は純情だなぁ〜
けれど月臣は彼なりの貞操観からアキトとの同室を阻止しようとする。
「いかん!絶対にいかん!」
「いや、別にいけなくないでしょう・・・」
「自分の体を大切にするんだ!あんなエリナ・ウォンやラピスなど様々な女性を毒牙にかけるような男と同衾するなど!
裸の上に苺を置いてさらにミルクと砂糖をかけて食べて下さいって言っているようなものだ!」
「あんた、人の肉親貶してるけど、ケンカ売ってる?」
「肉親?」
「だから兄妹」
「・・・・兄妹だったのか!!!
しまった、今まで散々シゴいてしまった・・・
早速手みやげを持ってゴマをすりに行かねば・・・」
「・・・まぁ良いか。だから同室は問題なしでしょ♪」
「ダメだダメだ!今時兄妹で禁断の道を歩むという妖しいマンガも多い!
そんなこと・・・そんなこと・・・
は、鼻血が出てきた・・・」
「あんたの発想の方が十分危ないよ・・・」
「そんな事を言わずに思い直すのだ!!!」
「あ〜〜揺すらないで〜〜」
必死に思いとどめようとシオンの肩をガタガタ揺らす月臣
気持ちはわからなくないが・・・
その不良行為に走る生徒を引き留めようとする熱血教師・・・いや危ない教師のような説得はどうかと思うぞ?
「あの男がこの見事な胸を蹂躙するかと思うと・・・」
ポム!
何気ない一言を漏らしながら何気ないところに手が行く月臣。
もちろん真っ赤な顔になったのはシオンだった。
けれどそれは大方の予想を裏切る結果を生んだ。
そう・・・
ムニュ♪
ではなく
プシュ〜〜
という音がしたのだ。
月臣は手の感触を不審がる。
「ん?この果汁20%の様なさわり心地は・・・」
「・・・・・・」
「ま、まさか、これは!」
「何触ってるのよ!!!」
ゲシゲシゲシ!!!
ボカボカボカ!!!
抉るように打つべし打つべし!
ズギューーーーーン!
「今すぐ忘れなさい!!!」
「アシベーーー」
ギャラクティカマグナムが月臣のこめかみを抉った。
ヒューーーーーーーー
ドンガラガッシャン!
今度は100mぐらい飛んだか。
「ハァハァハァ・・・」
「あの〜〜アキさん?」
ケンは鬼のような形相をするシオンに恐る恐る声をかける。
0.5秒後・・・
「テンクウ少佐、例の件、よろしくお願いしますね♪」
すぐに営業スマイルに復帰した(苦笑)
「ん?ここはどこだ?」
100m先では軽い記憶喪失になった月臣が元気に復活したみたいだ(笑)
「ともかく、暗殺するほど憎い相手もいないから(汗)」
「そうですか?残念です。初仕事でしたのに・・・」
暗殺で恩返ししてくれようとしたのをどうにか押しとどめて話を元に戻すことに成功したヒカルであるが・・・
「それでは別のお礼をさせて下さい♪」
「つうか、お前何が出来るんだよ」
リョーコはまずそのことを確認することにした。
「魚を三枚に下ろせますわ。あとウナギもさばけますし、鱧の骨きりもできます。
あとあとフグをさばけますわ」
「アレは免許がいるだろう」
「もちろん持っておりますわ♪」
「残念、うち今お魚無いの」
「っていうか、全部刃物関係ばかりだな・・・」
確かに大した技量の持ち主だが、如何せん刃物限定というのは活用度合いが狭すぎる。
と、サクラは辺りを見回して刃物があることに気が付いた。
「あのぉ、あれは何なのですか?」
「ああ、あれ?あれはスクリーントーンを貼って・・・」
ヒカルの仕事机には書きかけの漫画にスクリーントーン、それにそれを切り貼りするためのデザインナイフがおいてあった。
「あれなら私にも出来そうですわ♪」
「ちょ、ちょっと〜」
サクラはヒカルの制止もなんのその、切り貼り途中の原稿用紙に愛刀を抜きながら近寄っていった。
「破邪剣征・・・桜花封神!!!」
どこかのゲームに出てくるようなかけ声とともに必殺奥義が繰り出された!
すると奇麗に不要なスクリーントーンが削り取られた。
「おお、すげぇ〜」
「すげぇじゃないわよ!原稿まで切れてたらどうするつもりなのよ〜!!!」
「そんなヘマはしませんわ♪我が北辰一刀流の神髄は肉を切らせて骨を断つ。
血管に傷一つ付けずに皮膚を切り裂くことも造作はありませんわ♪」
「肉を切らせての使い方、間違ってるぞ。っていうか、北辰一刀流にそんな教義はない」
サクラは胸を反らせて威張るのにリョーコは突っ込む。
ヒカルは原稿を確認し、どうにか削れたのがスクリーントーンだけで下の紙まで切れてないことに安堵した。
「・・・腕だけは確かなようね」
「もちろんですわ♪」
「でも手伝ってくれるつもりならこっちのデザインナイフ使って」
「え〜〜どうしてですか?」
「日本刀を振り回す漫画家なんて聞いたことがないから」
サクラは何の特徴もない平凡なデザインナイフを渡されて悲しそうだった。
しばらく漫画制作タイム・・・
カリカリとヒカルのペン先の走る音が静かに響きわたる中、サクラはスクリーントーン貼りに専念し、リョーコはコンビニで買ってきたスポーツ雑誌を読んでいた。サクラは意外と漫画家のアシスタントとしての才能があるようだ。リョーコは端から戦力外のようである。まぁ不器用だし。
「ところでさぁ」
「何ですか?」
沈黙に耐えきれなかったのか、ヒカルはサクラにさっきから気になっていたことを聞いた。
「許嫁を探してるって言ってたわよねぇ」
「ええ、かれこれ2年間ほど探しております」
「確か遺言とかじゃなかったっけ?」
「ええ、父からきつく厳命されました」
「遺言って事はもしかしてまだ顔を合わせたこともないんじゃないの?」
「ええ、まだお会いしたことはありません」
「見も知らぬ人と許嫁にされるなんて今時時代錯誤だなぁ・・・」
「ええ、なんでも父の夢だとか」
サクラの昔話が始まった・・・
部屋は和室だが畳敷きではなく、板張り。
丸い座布団みたいな茣蓙に座り、親子は正座して向き合っていた。
「父はこれより草壁閣下の為にお仕事に参る」
「そうですか、今夜は遅いご帰宅なのですね。では夕飯はお作りしなくてもかまいませんね」
「・・・いやいや、そうではない」
「あらまぁ、徹夜なのですか?でしたら・・・」
「そうではない。しばらく留守をする」
「留守・・・ですか?女の所ですか?」
「・・・汝は何を聞いていた?仕事だといっておろうが」
「あらまぁそうですの?ホホホ♪」
ひとしきりの笑い声が流れた後、しばしの静寂・・・
「してだ。場合によってはこれが今生の別れになるやも知れぬ」
「あらまぁ、それは大変!では今から遺産贈与の支度をしないといけませんわねぇ」
「おい」
「形見分けにはお父様の愛刀『光刀・無形』を頂きたいですわ♪」
「・・・そういう話はせめて我が逝った後にしてくれ」
父親は娘が苦手だった。それはどこまで本気でボケ続けているのかわからないからだ。ボケているにしては毒がありすぎる(笑)
「してだ。汝に遺言がある」
「遺言・・・ですか?」
「そうだ。我には生涯の伴侶と決めた女性がいた」
「まぁ生涯の伴侶・・・ですか?」
「そうだ。我は3年前から仕事の合間を縫ってその女性を捜しているが、今だ見つけること適わず。可能であれば我がこのまま探したかったが今回のお仕事でそれも道半ばに終わるかも知れぬ。そこでだ」
「まぁ♪」
「結婚指輪にと思い、テレビ通販とやらで購入した『大粒の黒真珠の指輪、分割36回月々3万円のお買い得100万円の品、今なら分割手数料はじゃぱねっとたかたが負担します』をお前に託す」
「あの〜父上」
「なんだ?」
「して、今まで月賦はいかほど払われましたか?」
「1回だ」
「フフフ♪」
「ハハハ♪」
「フフフ♪」
「ハハハ♪」
「フフフ♪」
「ハハハ♪」
プスゥ!
「いきなり眉間に剣を突きつけるとは!」
「残り35回の月賦を娘に払わせようとする父上こそ非道ですわ♪」
真剣白刃取りで何とか防いだものの、ほんの数ミリ、父親の眉間に娘の剣の切っ先がめり込んでいた。
「で、その結婚指輪を形見分けしていただけると?」
「そうではない。我に代わって我が生涯の伴侶を探して欲しい」
「まぁ、お探しするのですか?」
「そうだ。そしてこの指輪を渡して欲しい」
「渡すのですか?」
「そうだ。そして我の叶えられなかった念願を成就して欲しい」
「念願を成就ですか?」
「そうだ。我が生涯の伴侶と汝が永遠に添い遂げて欲しい」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
しばし無言の後・・・
「その女性、2mの大女ですか?」
「いいや、我と同じぐらいだ」
「筋骨隆々ですか?」
「何を言う。女性らしい柔らかな肢体を持っている」
「短い髪型に鉢巻きなどされていらっしゃいますか?」
「亜麻の肩口まである長い髪だ。さらさらだぞ?」
「胸は巨乳ですよね?」
「それほど大きくはないが美乳だと思うぞ?」
「桐島流空手の奥義継承者ですか?」
「なにをいう。木連式柔の使い手だぞ?」
「それはつまり我が母上ではないということですね?」
「当たり前だろう。我が生涯の伴侶は桐島カ○ナみたいな女性とは月とスッポンだ」
「オホホ♪」
「ハハハ♪」
「オホホ♪」
「ハハハ♪」
「ホホホ♪」
「ハハハ♪」
「オホホ♪」
「ハハハ♪」
しばし二人は高笑いをしあった後・・・
プスゥ!
「いきなり眉間に剣を突きつけるとは!」
グリグリ!!!
「しかも抉るとは!」
「娘に対し、自分の母上ではない女性に父の結婚指輪を渡させようなんて良い度胸をされておりますわね♪」
口調は穏やかだが、その目は異様にギラついていた。
サクラの告白にリョーコもヒカルも呆れ返っていた。
「あ、あなたも大変なお父さんを持ったわねぇ」
「ええ、本当に困った父ですわ。
せめて黒真珠の指輪でなく、ロザリオにして下されば良かったのですが」
「おい待て。困ったのはそこか?」
その父にしてこの娘か、この子も相当ボケている。
「一つ聞くけど・・・あんたの母親さん、達者か?」
「残念ながら息災ですわ♪」
「・・・なのにお父さんは他の女性を生涯の伴侶と?」
「ええ、父は常々母にハメられたとボヤいておりますから」
「ハメられた?」
「ええ、避妊したのに、避妊したのに・・・と、うわごとのように」
「本当にハメられたのか・・・」
「ヒカル、その表現も卑猥だぞ!
って、いやいや、そこも核心部分じゃなくてだなぁ」
ヒカルもリョーコもどこから突っ込んで良いものやら悩むが、一番の問題点とは・・・
「つまりお前の父親が生涯の伴侶と言っている人物は・・・女性だよな?」
「もちろんですわ♪父は男色家ではありませんから♪」
良かった。まずは第一関門は正常な組み合わせのようだ。
「で、お前の父親がお前にその人の許嫁になれと言っているんだよな?」
「ええ、そう遺言されましたから♪」
問題発言だが、これも話しの流れからいえばサクラの父の暴走ということでスルーしよう。
「あんたが実は男・・・と言うオチはないよな?」
「もちろんですわ♪なんなら触って確認しますか?」
「おい、どこを触らせるつもりだ!」
「同性で恥ずかしがることないじゃないですか♪」
彼女に触らされそうになって慌てて手を引っ込めるリョーコ。
とりあえずナニは付いていないみたいだ。
ということは・・・
「つまり女性って事よね?」
「何を当たり前なことを確認しているのですか?」
「いや、だから問題点は・・・あなたはその人が許嫁になることを嫌がっていないの?」
退避中のリョーコに代わってヒカルが尋ねる。
そう、一番の問題点はそこだ。
彼女はそのことに関しては全然嫌がっていないのだ。
「何故ですか?」
「いや、なぜって・・・女同士でしょ」
「どうしてですか?」
「どうしてって・・・ほら普通男の方が良いでしょ?結婚なんだから」
「嫌ですわ♪男性などという不浄な存在と結婚なんて考えられませんわ♪」
サクラの発言に見る間にリョーコ達の顔色が変わる。
げ・・・
もしかしてこの人・・・百合?
リョーコはエンガチョをしながら少しずつ後ずさり、ヒカルは専門がBL(ボーイズラブ)にもかかわらず少し食指が動いたようだ。
「ひょっとして・・・その女性と結婚するつもり?」
「もちろんですわ♪でなければ、いくら父の遺言とはいえ、2年も探し回ったりしませんわ。ああ、愛しのお姉さま、早く会いたいですわ♪」
あ・・・完全に恋する乙女モードに入っている。
しかし、相手はどんな女性なのだろう?
「ちなみに・・・その相手の人とはまだ会ってないのよね?」
「ええ。でなければ探したりはしませんわ♪」
「でも会ったこともないのに何でそこまで結婚したいんだよ」
「父が似顔絵を描いて下さいましたので♪」
そういうとサクラは懐からラミネートパックされた絵を取り出した。
「こ、これは・・・」
「負けた・・・私より絵が上手い・・・」
「って驚くのはそこじゃないだろう!」
プロの自分よりも上手いその絵を見て敗北感を味わうヒカル。
やれやれと首をすくめるリョーコはヒカルの代わりにその絵を観察した。
「しかしこの背景は・・・」
「父の心証を描いたものらしいですわ♪」
「口に薔薇をくわえているのも?」
「ええ♪」
まるで少女漫画のように本人は薔薇をくわえ、バックには薔薇の花びらが舞っていた。
「しかも今時見かけないお蝶婦人の様な縦ロールの髪型は・・・」
「それも父の心証を描いたものらしいですわ♪」
どことなく「○ースをねらえ」か「ベ○サイユのばら」みたいな画風だった。
「あ・・・点描が細かいなぁ」
「ヒカルのより仕事が丁寧だな」
「そんなことないよ〜!」
「今日の原稿だって点描の半分以上はスクリーントーンだろう」
「し、締め切りが迫ってて仕方がなかったのよ!」
「あ、それ父ではなくその部下さん方がなさったそうですよ」
「え?」
丁寧な点描をする部下って一体・・・
「ちなみにあなたのお父さんの職業って漫画家?」
「副業ですわ。ペンネームはXXXXって言います♪」←好きな少女漫画家の名前を当てはめよう♪
「私ファンだったのに・・・男だったなんて・・・」
「そういえば突然休載した後、そのまんまだっけ」
明かされる衝撃の新事実(笑)
ヒカルは床に手をついて脱力し、リョーコはもうどうにでもしてって顔をしていた。
しかし・・・
「ん・・・どっかで見たことがあるような、ないような・・・」
「なにが?」
「なにがってこの絵の人物」
「知ってらっしゃるのですか?」
「いや、知っているというか、知らないというか・・・」
リョーコとヒカルは眉をひそめる。
あくまでも似顔絵だし、なによりも本人の主観が入りまくっている。
口に薔薇をくわえているような知り合いを思い出せというのも難しい作業だ。
第一、そんな少女漫画みたいな知り合いなどいやしない。
二人が見たことがあるようなないような・・・と悩んでいるとなにやら異様なオーラが漂ってきた。
「知ってらっしゃるのですか?」
「え?」
「もしかして隠し立てをされているのですか?」
「いや、あたい達は別に・・・」
サクラの髪の毛は怒髪天をつくがごとく沸き上がる殺気のオーラでユラユラと揺らめいていた。しかもその手には愛刀である霊剣・荒鷲を半分抜きはなっていた。
前髪とピカリと光る眼鏡で隠されているがその形相はこの世のものとは思えないものであった。
「妾はこの2年間、それこそ血の滲むような想いで愛しい方をお探ししておりましたのに・・・東はチベットの山奥、西はマリアナ海峡、ありとあらゆる所を必死に探しましたのに、よりによってあなた方が匿っていたというのですね!」
何故かサクラの背後にはこれまで彼女が経験した冒険の数々が走馬燈のように流れているのがリョーコ達にも何となく見えた。なぜか某アニメの予告編みたいなタイトルで。
『サクラとチベットの熊さん達♪』
『サクラとくたくたダイビング♪』
『サクラと砂漠のお友達♪』
『サクラと奇妙な秘境探検♪』
などなど
『笑っちゃダメか?』
『叩き切られたかったら笑えば』
『そんなこと言われたら余計笑えねぇ〜』
いかなリョーコ達でも鼻先に刃を突きつけられれば、それがどれだけおもしろおかしい冒険だったとしても笑えないだろう。二人は精一杯の言い訳・・・じゃない、真実を伝えた。
「確かにこんな女性を知ってる事は知っているけど・・・」
「許しませんわ!成敗!!!」
「わぁぁぁぁぁ!早まるな!」
「私達を切ったら彼女の足取りもわからないわよ〜〜」
「・・・それもそうですね。情報を聞き出してから切りましょう」
「だから切るのはやめてくれ・・・」
なんとかサクラに剣を下げさせることに成功した。
けれどここから応対を間違えると悪・即・斬されかねない。
とはいえ、ボケたいのが人情・・・
「ヒカル、余計なことを言うなよ」
「い、言わないわよ〜」
「いや、言いたそうな顔をしていたから」
念のためにヒカルに釘を刺して置いてリョーコは話し始めた。
「この女性の名前はアマガワ・アキって言うんだろ?」
「ええ、その通りですわ」
「ならあたい達もこの女性を知っている」
「で、どこに匿ってるんですか!」
「まぁ落ち着け。知ってるっていっても俺達が彼女と一緒にいたのはかれこれ5〜6年も前の話だ。それ以来あたい達の知り合いは誰も彼女に会っていない。
逆にこっちが教えて欲しいくらいだ」
「そ、そうですの・・・」
サクラはがっくりと肩を落としてうなだれた。
そりゃ見つからないだろう、とリョーコ達は思ったが口に出さない。
未来から来た女性だから未来に帰った以上、現代のどこを探してもいないはずである。
父親と含めて6年間・・・無駄な努力をしていたのかとそっと同情の涙を禁じ得なかった。
「ちなみに、ユリカ様達ごく親しい人以外はアキ様の正体がアキト様だということは明らかにされていないというお約束ですので、皆様も突っ込まないようにお願いしますわ♪」
とカメラ目線で解説するメイドさんだが・・・
「ラピ!そんな誰に言い訳しているか知らないけど、そんなことしている暇があるならこのバカを何とかしてよ!!!」
「ナナコさん〜♪」
「ナナコさんじゃないって言ってるでしょう!」
まとわりつく月臣をゲシゲシと蹴り倒すシオンは自分の専属メイドに向かって悪態をつくのであった。
がっくりうなだれるサクラに二人は暖かい慰めをかける。
「まぁそんながっかりするなよ〜」
「そうそう、単に振り出しに戻っただけなんだし〜」
「ヒカル、そりゃ何のフォローにもなってないだろう・・・」
慰めになっていない二人の慰めに『よよよ〜』と泣き崩れるサクラ。
「妾、生きていく気力を失いました。
父の遺言すら守れぬダメな娘など生きている価値も・・・」
「わぁぁぁぁ〜!早まるんじゃねぇ!!!」
喉元に短刀を当てて自害を計ろうとするサクラを必死で止めるリョーコ。
「まぁまぁ、とりあえず漫画書くの手伝って♪
何かやれば気が紛れるし、後でお手当あげるから♪」
「・・・わかりましたわ、生きる気力が湧いてきました♪」
「現金だなぁ〜」
ヒカルの叩いた電卓の金額を見たサクラはあっさりと復活した。
しばらくカリカリと漫画を描くヒカルとサクラ
と、そこにチャイムが鳴った。新たな来訪者だった。
「リョーコ出て〜」
「はいはい、あたいが一番暇だからね〜」
ヒカルに頼まれたリョーコは読んでいた雑誌をテーブルに放ると気だるげに玄関のドアに向かった。
ピンポンピンポンピンポン♪
「はいはい、今出ますからそんなにチャイムを鳴らすなよ〜」
リョーコはうるさげに扉を開ける。
しかし、ドアの外にいる人物を見て即座に扉を閉めようとした。
「締めないで、サバじゃないんだから」
「・・・そんな妖しい服装の知り合いはいねぇよ」
妖しい姿に笑えないギャグ。もちろん三人娘の一人、マキ・イズミである。
「しかし、その格好はなんだよ」
「虚無僧、フォオオオオー」
ウクレレの次は尺八のようだ。
「全国行脚にでも出るつもりか?」
「いや、帰ってきたところ」
「あっそ。でも何をしに来たんだ?」
「ご挨拶。遊びに行くって聞いたから混ぜてもらいに」
「その格好は勘弁してくれ」
「というのは冗談で」
「冗談なのかよ!」
虚無僧姿のイズミはかぶり物の編み笠を脱ぐとニヤリと笑った。
「実はリョーコに耳寄り情報を持ってきた」
「耳寄り情報?」
「そう、山から下りてくる途中、隊長を見つけた」
「隊長?」
「そう、リョーコの愛しい愛しい隊長様♪」
隊長といわれてすぐにピンと来ないリョーコだが、イズミの意味ありげの表情に少し考え込む。しばらく考えて・・・
「あ!アキ隊長!」
「ポンピン〜♪」
「って本当に見たのか?アキ隊長を!」
「ああ、メイド姿の女性と歩いていた」
イズミがこれだけはっきり答えるという事はかなり確証があるのだろう。
しかし、この会話に反応した女性がいた。
「そ、それは本当ですの!」
「さ、サクラ、聞いてたのか!?」
「誰、その子?」
サクラは二人の会話を耳聡く聞きつけ、襲いかかるようにやってきた。
「お姉様を見たのですね!どこにいるのか答えなさい!
答えなければ!!!」
サクラは思わず刀を振りかざす。
しかしイズミは動じる事はなかった!
ハシィ!
「真剣白刃取りですか・・・なかなかやりますね」
「おぬしも」
ギリギリと力押しするサクラと、白刃取りで刀を受け止めたイズミの視線の間に火花が散った。実力伯仲、互いに相手の実力がわかったみたいだ。
「ところで先ほどの女性はどこで見かけたというのですか?」
「宇宙軍本部当たり」
「ありがとうございます。それでは妾はこれで!」
今のところはここでイズミと決着を付けるよりもお姉様を捜す方を優先させたようだ。
サクラは取るモノもとりあえずヒカルの家をダッシュで去っていった。
「なんなの?あれ」
「いや、まぁ、行き倒れ」
「行き倒れ?」
「そういえばお手当渡しそびれちゃった」
来訪者が嵐のように去っていくのを呆然と眺める三人娘であった。
「はい、ルリちゃんお弁当」
「ありがとうございます。アキトさん♪」
「じゃ、俺はこれで」
「え、もうちょっとゆっくりしていっても良いじゃないですか〜」
「いや、仕事忙しそうだし、それに俺お邪魔そうだから」
お弁当だけを渡してそそくさと退出するアキト。
確かに後ろで猛犬よろしくグルルル!と唸り声を上げて威嚇するハーリーを見れば退出したくもなるだろう。
「アキトさん・・・あ〜ん♪とかして欲しかったのですが・・・」
「ルリさん、それなら僕が!」
「ハーリー君、後でお仕置き」
「え〜そんな〜〜」
ラブラブできなかった無念さをハーリーで晴らすルリであった。
少女は走った。胸の高鳴りを押さえながら。
もうすぐ会える♪
苦節2年、この日をどれだけ夢見た事か!
『サクラとチベットの熊さん達♪』
『サクラとくたくたダイビング♪』
『サクラと砂漠のお友達♪』
『サクラと奇妙な秘境探検♪』
などなど、過去の苦労が走馬燈のように駆けめぐったが、その苦労ももう間もなく報われる。
出会ったらなんて言おう。
やはりマリア様の前でロザリオを頂いてスールの契りを結ぶべきか?
いやいや、プロポーズをしてそのまま神前で結婚式か?
ああ、夢にまで見たお姉様♪
「待ってて下さい、お姉様♪
サクラが今お側に参りますわ♪」
駆け足で宇宙軍本部ビルに向かうサクラ。
目的地はどんどん近づいてくる。それに比例して予感は確信に近づいていく。
「感じる、お姉様の気配♪
やはり私達は結ばれる運命にあったのですね♪」
そして彼女は見つけた。
写真の中だけでしか知らない愛しいお姉様を。
隣に金髪のメイド服姿の女性がいたりするが、そんなのはアウトオブ眼中である。
「お〜ね〜え〜さ〜ま♪」
彼女はアキの胸へ飛び込んだ。
プッププププーーー!
キキキキキーーー!
ドーーーーン!
「ん?」
「どうしました?シオン様」
「いや、なんかどこかで誰かが車にはねられた様な音がしなかった?」
「気のせいじゃないですか?」
シオンがそっちの方に顔を向けるが・・・
「おい、誰か車に轢かれたぞ!」
「赤信号を突っ切ろうとしたらしいぞ!」
「とにかく救急車を呼べ!救急車を!」
ピーポー!ピーポー!ピーポー!
と人だかりが出来ていて、早速救急車も来たらしい。
「なんか大変な事になっているみたいね」
「シオン様も野次馬しますか?」
「どうしようかな、見てみようかな」
などと事故現場に立ち寄りそうになったその時。
「あれ、こんなところで何をしてるんだ?」
「あ、パパ♪こんなところでどうしたの?」
「いや、お弁当を差し入れに」
黒尽くめなのに弁当箱を片手に街中を歩いてきたのは彼女の父テンカワ・アキトであった。父親を見つけた娘は嬉しそうに彼の腕にからみついた。もちろんそこで起こった交通事故の事など既に頭の中から奇麗さっぱり消え去っていた。
「パパ、一緒に帰りましょう♪」
「ああ、帰るけど・・・」
「パパ、お昼なに?」
「いらないんじゃなかったのか?」
「え〜〜ブーブー」
「嘘だよ。お弁当にしてある。後で食べるか?」
「うん♪」
「あらあら、シオン様は甘えん坊ですね♪」
「もう、ラピったら意地悪!」
ピーポー!ピーポー!ピーポー!ピーポー!
などと遠ざかる救急車のサイレンを聞きながら、ほのぼのホームコメディーのノリで彼らは帰宅の途についた。
ソードキャプターサクラ、本名 新宮寺サクラのお姉様との遭遇は失敗に終わったそうな(笑)
ということでナデシコNG第3話をお届けしました。
どうでも良いけど、北辰娘の名前は新宮寺サクラで良かったのか?
命名の理由はモロパロった作品が理由です(汗)
ベースが真宮寺さくらで、それに今再放送をしている某国民放送のTVアニメの主人公も混じっていたりします。
えっと初出から設定を変えます。設定では新宮寺の姓は母方の姓という事にします。(北辰の本名は名前も姓も不詳という事で。多分北辰一刀流から北辰と呼ばれていると思いますが)
なお、当初は出会って何故かシオンとサクラが戦うところまで書こうかなぁ〜と思いましたが、諸般の事情により、シオンちゃんとサクラは出会わずに今回は終わる事にしました。ここで戦っちゃうと一気にプラント編に突入しそうだったからです。
もうちょっとだけ日常編をしてから宇宙の海原に出て行くと思います(笑)
ということでおもしろかったなら感想をお願いします。
では!
Special Thanks!!
・にゃ♪ 様
・裕介 様
・戸豚 様
・Chocaholic 様
←BACK | TOPへ戻る | NEXT→ |
SS navigationbar(version1.1) by 大塚りゅういちの隠れ家 |