まぁ一部の熱血ラブ野郎二人は置いておくとして、すったもんだ迷惑かけまくった揚げ句、何とか火星への旅路に向かうことが出来ました。
なぜ火星に向かうのか、みんなあまりよく考えていないようでしたが、アキトさんの言葉で少しはどういう意味を持つか考え始めたようです。
そういえばそろそろ三人娘の登場なんですけど・・・また騒がしくなるんでしょうね。
ああ、これってSecond Revengeのラストとは何の関係もありませんのでそのつもりで。
「ガイ・スーパーナッパー!!!」
「甘〜い」
「秘技!外面似菩薩内心如夜叉(げめんじぼさつないしんにょやしゃ)!!!!」
「まだまだ〜〜」
やたら騒がしい叫び声を上げてガイとイツキがエステで必殺技を繰り出すが、アキにはどれも通じやしない。まるであざ笑うかのようにヒラヒラかわしていく。
「くそ!お竜、こうなったら!!」
「ええ、隊長」
「二人の瞳に燃える炎は!!」
「正義に燃える熱血の炎!!」
「二人の熱血をいま大いなる力に変えて!!!!」
「「必殺!!熱血怒号ダブル・ゲキガンフレア!!!!!!!」」
ガイの右手とイツキの左手が共に重なり合ってラブラブ光線を発しながら突き進んで来た!!
「ええい!!縁切りチョップ!!」
プチ!
二人の重ねていた小指に造作もなくチョップを入れるアキ。
「「あれ〜〜〜」」
ラブラブパワーをブチぎられた二人は造作もなく吹き飛んでいった・・・。
「・・・・・・たったそれだけで破られる必殺技ってのも何だかなぁ(苦笑)」
アキトが外でシミュレータの様子を眺めてツッコミを入れる。
そうそう、今は戦闘訓練中で、イツキも飛び入り参加していた。
本当は全員でアキに戦いを挑んで彼女に揉んでもらうはずだったのだが、いの一番にアキトはリタイアし、外でぼ〜っと彼等を鑑賞するしかなかったのだ。
しかし、外から見ているとよくわかる。
普段、熱血とか叫んでふざけているとしかいいようのないガイであるが、やはり強いのである。
現にモノの5秒も持たずにシミュレータから放り出されたアキトと違い、あのアキと対峙してそこそこ対戦できている事を考えてもかなりの腕だ。イツキもそれに匹敵するぐらい強い。
まぁ、初心者の、それもゼロG戦に対して全くの経験がないアキトが模擬戦闘に出る事自体がそもそもの間違いという噂もあるのだが、それにしても・・・である。
コックとしては半人前、パイロットとしては駆け出しもいいところ、そんな中途半端な自分が何をやりたいのかわからなくなっているアキトであった。
コックになりたい、それは本気だ。これは間違いない。
でもパイロットになって火星の人達を救いたいというのも本心なのだ。
その相反する心を持て余しているのが今のアキトなのだ。
『アキさんみたいにどちらも上手くできたらこんなに悩まないのになぁ・・・』
そのアキにしたってこれまでどれほどの苦労を重ねて来ているのかを想像できないところにこの青年の甘えがあるのだが、それを悟るには経験が少なすぎるのだろう。
ナデシコの食堂の昼食時が一段落した後、今日のまかない飯はアキトの担当である。
まかない飯とは従業員の食事のことであり、新人コックが主に担当する。
下っ端だからやらされるというよりも、どちらかというと教育のためにされる側面の方が強い。
毎日、毎食厳しい先輩達に味のチェックをされるのだ。
短い時間でいかに安く、そしておいしく作れるか。この厳しい条件の中で新人コックの技量が試されるのである。
で、本日のお味は・・・
「ちょっと塩辛いですよね」
「・・・ごめん」
うなだれるアキト、いつもの彼には似つかわしくないヘマであった。
『美』少女達お歴々は食堂で緊急会議を行っていた。
対策委員 通信士「アキトさん、元気ありませんね・・・」
対策委員長 艦長「そうだね・・・」
対策委員 主席オペレータ「何ででしょう・・・」
対策委員 食堂アシスタントリーダー「風邪?」
対策委員 次席オペレータ「それはない。ヘルスデータはいたって良好」
対策委員長 艦長「んじゃなんで?」
一同「う〜〜〜ん」
ユリカ「ねぇ、アキトのこと・・・」
ホウメイ「そういえば次のステーションで新しいパイロット達がくるんだって」
ウリバタケ「ああ」
ユリカ「ちょっと元気がないように思えるんだけど・・・」
ホウメイ「じゃ、イヤな奴の方がいいねぇ」
ウリバタケ「イヤな奴の方がいいか?」
ユリカ「あの・・・」
ホウメイ「イヤな奴の方がいい。真っ先に死んじゃうかもしれないような奴はな・・・」
ウリバタケ「・・・・まぁ、そうかもしれんが・・・」
ユリカ「うええええん!!アキトはイヤな奴になっちゃダメ!!
死んでもダメ!!!!!」
・・・・ウリバタケ達の言葉に滝の涙を流すユリカであった・・・。
さて、このアキトの異変に気づいていたアキであったが、彼女は別のことに熱中しており彼に気を配る余裕もなかった。
その内容とは・・・
「ラピed、そういえば例の件はどうなってる?」
『はい、『あの人』とおぼしき人の乗ったシャトルがサツキミドリ2号に寄港している模様です』
ラピedことオモイカネ・ラピスeditionは答える。実はアキが未来から持ってきたユーチャリスのホストコンピュータの記憶を現在のオモイカネに移植したのである。
現時点でアキのすべてを知る唯一の協力者なのだが・・・
「あれ?『あの人』直々に来ちゃったの?」
『まずくありませんか?マスター・・・』
「・・・・えっと、サツキミドリ2号が襲われるのって・・・」
『はい、該当するシャトルの出航予定の1分後かと・・・』
「まずいね」
『まずいです』
アキとラピedは共に冷や汗を流すのであった・・・。
ウリバタケ「そんなことより、これ見て見ろよ!!
今度入るゼロG戦フレーム!!」
ルリ「はぁ・・・」
ノックアウトされたユリカの代わりに状況調査に来たルリであるが、何故かウリバタケにとっつかまっていた。
ウリバタケ「仕様書を見ただけでも興奮するぜ!!
それにもう一つ!!アキちゃん用に送られてくるゼロG戦カスタムの仕様ときたら!!
くぅ!!技術者魂が燃えるねぇ!!」
ルリ「・・・・一つ質問」
ルリがふと思った疑問を口にする。
ウリバタケ「なんだい?」
ルリ「いま、『今度入る』って言いませんでした?」
ウリバタケ「・・・言ったよ?」
ルリ「現物はないんですか?仕様書だけ?」
ウリバタケ「・・・そうだけど?」
ルリ「ゼロG戦フレームって言うぐらいですから、宇宙戦専用なんですよね?」
ウリバタケ「まぁ、汎用性があるから地上でも使えなくはないが・・・」
ルリ「わざわざ『ゼロG戦』って銘打つぐらいですから、他のフレームって宇宙で使えないんですよね?」
ウリバタケ「そうだけど・・・・何が言いたんだ、ルリルリ?」
ルリ「ですから、いまナデシコに宇宙で戦えるエステバリスがないって事ですよね?」
ウリバタケ「・・・・・・・・」
はたと気づく事実・・・
ルリ「サツキミドリに着く前に襲われたらどうするつもりなんです?」
ウリバタケ「・・・・・んなこと俺に聞くなよ・・・・」
二人ともイヤな予感に冷や汗たらりと流していた。
『シャトルを囮にしてバッタたちの気をひこうって考えたマスターが悪いんですよ』
「んなこといったって、ど、どうする?助けなくちゃ」
『助けるってどうやって?
いま宇宙で戦えるエステバリスはありませんよ』
「え?そうだっけ!?」
『ゼロG戦フレームの搬入はサツキミドリに到着してからですよ』
「ガーン、そうだった!!」
肝心なところが少し抜けているアキであった。
まぁ、1周目のアキトはガイの死を嘆いて部屋でゲキガンガーを見ていただけなのだからしかたがないといえばしかたないのだが・・・。
「もう少しでL2サツキミドリ2号に到着しま〜す」
メグミの脳天気な声がブリッジに響きわたる。道中何事もないことにほっとする一同。
「襲われなくってよかったですね」
「ははは・・・何よりです。」
ルリにジト目で睨まれて冷や汗をかくプロス。
いかに突貫工事で慌ただしくナデシコの準備が進められたとはいえ、宇宙にあがる前に宇宙戦用の装備が揃っていないのは彼の責任である。
『・・・・』
「?」
そのことに気づいたのはサブのオペレータのラピスである。
「・・・ギリギリ有効範囲内から救難信号が入っている」
「え?」
「映像入るけど、出す?」
「お願い」
ラピスに問われてユリカは指揮官らしく答えた。
ウインドウ展開
『だぁぁぁぁぁ!!!
早く助けなさいよ!!!!!』
やたらデカイ声でゆでダコエリナが画面いっぱいに現れた。
「だぁぁぁぁ、来るんじゃないわよ!!!」
バッタが放つ雨霰のミサイルをかいくぐりながら、エリナは必死こいてシャトルを操縦していた。
いくつか被弾しながらも約30機あまりのバッタを引き連れている割にはよく持っていた。
さすが、これでも将来の副操舵士・・・・ってその設定って本当に有効だったの?
秘書ってだれでも操舵士になれるのかな?
「なめるんじゃないわよ!!これでもA級ライセンス持ってるのよ!!!」
さいですか。
「って、モノローグにツッ込ませるんじゃないわよ!!!!!」
それはともかく、アキからのカスタムエステバリスの要求があり、その手配の傍ら、もう一人のCCを操れる人物(つまりアキト)に興味があって、アキのエステバリスの搬入をかって出たのが運の尽き。
アキから早めにエステを受け取りたいとの連絡を受け、『サツキミドリでまとめて受け取ればいいのに・・・・』とブツクサ言いながらも対象に一刻も早く会いたいがために一足先にサツキミドリを出港してみた結果がこれだった。
サツキミドリを出た直後、エリナのシャトルにバッタたちは群がったのだ。
「なんであたしのほうばっかりに寄ってくるのよぉぉぉぉぉ!!!」
とのエリナの叫びに同情もするが、ここだけの話、実はバッタたちのお目当てはシャトルに積んであるエステバリスである。
バッタたちもサツキミドリを奇襲する前にエリナのシャトルが出てきたので大層迷ったみたいだが、結局ネルガルの秘密兵器を殲滅するという使命を優先させたようだ。
つまり、エリナはまさしくネギを背負った鴨というわけである。
「だぁぁぁぁ!!淡々と解説してるんじゃない!!!」
ご愁傷様・・・
「シャトル、バッタと交戦中・・・」
「っていうかタコ殴り状態よね」
『こら!!淡々と解説しないで何とかしなさい!!!』
ルリとメグミの言葉にマジギレで反応するエリナ。
ミナト「何とかって言われても・・・ねぇ」
メグミ「っていうかそれ以前にあの人誰ですか?タカビーな人・・・」
プロス「ネルガルの会長秘書さんでして・・・はい・・・」
ラピス「んな人がなんでこんなところでシャトルに乗ってるの?」
プロス「さぁ?」
エリナ『んなことどうでもいいからさっさと助けなさい!!!!』
ゴート「どうする?」
ジュン「どうするって言われても・・・グラビティーブラストを打つわけにもいかないし」
エリナ『ってあたしまで一緒に巻き込むつもりかい!!!』
ユリカ「エステバリス出そうにも、ゼロG戦フレームが・・・」
エリナ『ゼロG戦フレームならここにあるから!!』
ルリ「ですから、どうやってうちのパイロットが乗り込むんですか?」
エリナ『だ!か!ら!わたしを助けなさいよ!!!!』
ラピス「堂々巡りね」
確かに鶏か卵か・・・ですね。
ユリカ「八方塞がりですね・・・」
エリナ『って結論を落ち着けて終わるんじゃないぃぃぃぃぃ!!』
エリナの絶叫がナデシコのブリッジに轟くのであった・・・。
「よし!俺様が行ってやるぜ!!!」
「馬鹿、どうやって行くんだよ!!」
ガイの咆吼にウリバタケが冷静につっこむ。
「陸戦も空戦も宇宙じゃ飛べないんだぞ!」
「根性があれば・・・」
「どうやって?」
「・・・・・・・クロール」
「どあほ!!!!」
あまりにもあきれた発言に思わずウリバタケはガイの頭をスパナで殴った。
「外は真空なんだから泳いだって無理だろうに・・・」
「ええ、海なら何とかなったのに・・・」
「・・・・イツキさん・・・・マジ?」
「ええ、これでも海軍にて戦闘泳法を学びましたので」
「・・・」
至って真面目なイツキの言葉に口がふさがらないアキトであった。
まぁそんなお馬鹿な会話を聞きながらアキは真剣に考えていた。
今、ここでエリナに死なれると非常に困る。
いや、未来の嫁さんが一人減るから体力的に助かるとかこれっぽっちも考えていないが、やはり困る。
黒百合時代は彼女に多大な支援を受けていた。
いや、未来だけではない。
現在の時代でもネルガル側の数少ない良心的な協力者になってもらえる人物だ。
今死なれたら計画も著しく狂ってしまう。
『なんとしてもそれだけは回避しないと・・・』
そうやって間接的にエリナを窮地に追いやった自分の責任を忘れようとするアキであった。
でも今ナデシコに積んでいるエステバリスでは宇宙はどうやっても飛べないのだ。
エステバリスでは・・・
!
アキ「・・・上手く行くかもしれない」
一同「え?」
一同は驚く。アキは何か閃いたようだ。
アキ「ウリバタケさん、砲戦フレームを出してくれない?」
ウリバタケ「・・・・・いいけどどうするんだ?んなもん」
ガイ「そうだ!砲戦で泳げるわけないだろう!!」
アキト「そうですよ、アキさん・・・・ってガイ!アキさんがそんな事するわけないじゃないか!!」
アキ「イツキちゃん、ちょっと手を貸してくんないかな?」
イツキ「あ、あたしですか?
・・・・かまいませんけど・・・何するんですか?」
アキ「それは見てのお楽しみ♪」
アキは可愛くウインクして微笑むのであった・・・。
「いや!!もうやめて!!」
既に崖っぷち状態のエリナ。
敵のバッタたちに抗するのもそろそろ厳しい。
そんな眼前に先回りしたバッタのどアップが映った!!!
「ひえぇぇぇぇぇ!!」
ボン!!
しかし、目の前のバッタは次の瞬間弾きとんだ。
「え?」
エリナは自分の目を疑った。
来るはずのないナデシコの方から救援にくる機影を確認できたからだ。
「はい、イツキさん、その調子よん♪」
「はぁ・・・」
「んじゃ、次々行くからね、制動を忘れないでね」
「・・・はい・・・・」
先ほどのエリナのシャトルを救ったのは砲戦フレームの装備する120mmカノン砲による狙撃のおかげだった。
アキの狙いは正確で、宇宙空間で重力による弾道計算がいらないとはいえ、12km先の素早く動くバッタをシャトルに誤射せずに当てるなんて神業に近かった。
え?宇宙で120mmカノン砲が使えるのか、ですか?
だって劇ナデで砲戦エステバリスが使ってたじゃないですか。
え?宇宙で砲戦フレームになんて乗ってて、中の人間が窒息したりしないの、ですか?
アサルトピットは宇宙で使用することを考慮に入れているので、砲戦フレームを宇宙に浮かべても問題なしです。
それに劇ナデで砲戦エステバリスが使ってたじゃないですか。
そう、劇ナデで砲戦エステバリスを使ってるんだから・・・・・(笑)
でも、本来宇宙での推進能力のない砲戦フレームをどうやって動かしているか?であるが、その鍵を握っているのがイツキ・カザマである。
「仰角ちょい右・・・・そうそう、そこでストップ」
「あの・・・これじゃ・・・」
「かまわないわよ♪左に相対10mで移動して」
「こ、こうですか」
「OK!
んじゃ、制動よろしく!」
「はい!!」
「ファイア!!!」
アキの砲戦フレームのカノン砲が火を噴いた。
本来、その威力は発射時の反動という形になって自身に襲いかかってくる。この反動は通常のエステバリスのフレーム構造では受けきれないので砲戦フレームは独自に自身を地面に固定させるためのアンカーを装備している。
当然、宇宙ではそんなもの使用できるはずもないので、発射の反動で後方に吹っ飛ぶ・・・はずであるのだが。
「フル制動行きます!!!」
イツキが叫んだ。
そう、その反動を押さえる役割を担ったのはイツキ嬢である。
ではどうやって?
ナデシコにある『エステバリス』では無理だ。宇宙を飛べないのだから。
でも、エステバリス以外なら飛べる機体があるかもしれない。
たとえば、イツキの乗ってきた『デルフィニウム』・・・・なんてのはどうだろう?
そう、アキの砲戦フレームはイツキの乗ったデルフィニウムに運んでもらっている状態なのである。
「たまや!!」
何故かそんな二人羽織状態でも思いっきりよく当たるアキの砲撃であった。
イツキ「アキさんもよく考えましたね。デルフィニウムを足代わりに使うなんて」
アキ「ふふふ、まぁね。」
イツキ「それに射撃の腕も確かですし・・・」
アキ「それほどでも」
イツキ「なによりお強いですわ。・・・・ガイ隊長よりも」
アキ「・・・・はい?」
イツキ「ポッ(真っ赤)」
アキ「え?」
パンパカパン!アキさん、イツキちゃんもゲットです♪
『ちがうわい!!!(アキ、心の叫び)』
「そんなことより、お仕事お仕事!!」
「あ、はい!!」
アキとイツキはひたすらバッタたちを長距離射撃で破壊していくのであった・・・。
何とか無事にナデシコに到着したエリナのシャトル。
中からは肩で息をするエリナが降りてきた。
「あ〜〜死ぬかと思った・・・・」
こうなると美人秘書も形無しである。・・・ていうかキャラ変わってない?
続いて、イツキのデルフィニウムに運ばれて、アキの砲戦フレームも帰ってきた。
アキはエステバリスから降りるとすぐさまエリナの元に駆け寄ってきた。
エリナ「ちょっと、アマガワ・アキ!助けるならもっと早く・・・」
アキ「ストップ!苦情は後で聞きます!!
それよりもあたしのゼロG戦フレームは積んできたんでしょ?」
アキはエリナの気勢を制して尋ねた。
エリナ「・・・・積んできたけど」
アキ「それ、すぐに動かせますよね?」
エリナ「そりゃ!!なんたって妹に急かしてバッチリしたの運んできたんだから!!」
胸を誇示するかのようにふんぞり返るエリナを無視してアキは話を進めた。
アキ「結構。
今、サツキミドリがバッタに襲われていますから、急いでこちらも援護に向かいます。
フレームって私のだけですか?」
エリナ「・・・・積みきれなかったから、どノーマルがあと一台あるだけだけど」
アキ「よし!それじゃ、アキト君はそれに乗って!」
アキト「お、俺っすか?」
エリナ「ちょっとあたしを無視して進めないでよ・・・」
いきなり指示されて驚くアキトだが、無理もない。
何せ不意の実戦なのだから。
アキ「そう、操作はこの前教えたとおりだから落ち着いて」
アキト「でも俺・・・」
アキ「緊急事態なの。ゴチャゴチャ言わない!
セイヤさん、エステの起動をお願い!
それと砲戦のカノン砲を持って出るから、弾の補充よろしく」
ウリバタケ「あいよ!!」
アキ「ってことですから、発進していいですよね?」
ユリカ『・・・・・・お願いします』
アキは矢継ぎ早に指示を出していった。
「ちょっとコラ待て!!!」
そこで不満そうに大声を上げたのはガイであった。
みんながやれやれといった表情をしたのは言うまでもない。
「なんでこの俺を差し置いてテンカワを出すんだ!!
この場面は本来なら主役たるこの俺様が出撃するべき・・・」
「あなたは切り札よ」
「へ?」
ガイが本気で怒り出す前にアキが制した。
アキ「私達がバッタを撃ち漏らした場合、誰がナデシコを守るの?
さっき私がやったみたいな芸当をアキト君に出来ると思って?」
ガイ「そ、それは・・・」
アキ「あなたしか出来るわけないじゃない、そう思わない?」
ガイ「あ、当たり前だ!わはははは!」
一同『アキさん!ナイス!!』
ガイはアキの一言でうまく丸め込まれた。みんなが賞賛の瞳でアキを見つめたのは言うまでもない。
アキが出撃する以上、バッタがナデシコに襲いかかる確率など皆無に等しいことに全く気がつかないガイであった・・。
(っていうか、砲戦用のカノン砲をアキが持って出る時点でそのことに気がつかないガイもガイなのだが・・・)
「アキちゃん、準備できたぜ!
弾は29発ほど補充しておいた。
それにしても無駄弾使わないなんてすごいねぇ」
「ありがとう♪」
そうウリバタケから報告を受けたアキはウインクするとゼロG戦アキ専用機に飛び乗った。
「あれ?確かバッタって30機はいたはずだけど・・・ま、いいか」
アキはエステのコックピットでカノン砲の弾と撃墜したバッタの数が合わない事に気がついたがあまり気にしていないようであった。
Snow white:「任務完了!(ビシ!!)」
Blue fairy:「それ何のまねなんですか?ユ・・・」
Snow white:「だめだめ、Blue failyちゃん。お互いはコードネームで呼び合わないと!」
Blue fairy:「コードネームって言われても・・・二人乗りの機体の中で私達だけしかいないのに・・・ですか?」
Snow white:「だめだめ!どこで誰が見てるかわからないんだから・・・」
Blue fairy:「別に読者さんぐらい・・・・」
Snow white:「お約束なんだから!」
Blue fairy:「まぁ、いいですけど。それよりもアキトさんって結構抜けてますよね」
Snow white:「まぁまぁ。今回でばってきたおかげでSecretaryさんから夜のお当番券を10日分貰えるんだし」
Blue fairy:「まぁ、そうなんですけど・・・。でもあの人、存在が消えかかってるって知ったら大騒ぎしてましたからね」
Snow white:「そうだね。それにアキトも浮気してなさそうで安心したし」
Blue fairy:「それじゃ、帰ります?」
Snow white:「うん。・・・・・ところで券の分配は7:3だよ」
Blue fairy:「ええ!!バッタを倒したのは私ですよ!」
Snow white:「でも連れてきたのはあたしだよ」
Blue fairy:「・・・・6:4で」
Snow white:「OK!!んじゃ、帰りましょう!お夕飯の準備しなきゃ♪」
Blue fairy:「・・・・今日、Snow whiteさんの番でしたっけ?」
Snow white:「そうだけど・・・・どうかした?」
Blue fairy:「・・・・帰るのよそうかな(ボソ)」
Snow white:「何か言った?」
Blue fairy:「いいえ!帰りましょう!!」
とまぁ薬にも毒にもならない二人組が白い機動兵器にて、歴史に然したる影響も与えずに人知れずやって来て人知れず帰っていったのであった・・・。
何のこっちゃ。
さっそくエリナの運んできたゼロG戦フレームに乗り込んだアキとアキトは、バッタに襲われているサツキミドリ2号に向かっていた。
「メグミちゃん、サツキミドリの生きてる端末に識別信号を発信するように促して!」
『了解』
「さて、私は識別を出してない機体を片っ端から打ち落とすから、あなたは私の援護をしてね」
「了解っす」
アキは持ってきたカノン砲を構えてトリガーを引いた。
ゼロG戦フレームであろうとも制動のタイミングさえ上手くあえば120mmカノン砲といえども扱えるのである。
超長距離からの砲撃はおもしろいようにバッタたちに当たっていった。
『すげぇ〜〜』
アキトはアキの攻撃はそばで見ててもほれぼれとする。
彼女の攻撃は見事なものだった。アキトが手持ちぶさたになるくらいに。
だから余計にイヤなことを思い出したりした。
『俺って本当にパイロットとして必要なんだろうか・・・』
自分が全くパイロットとして無用の長物ではないのかと思い悩むアキトであった。
そんなこととは関係なくアキは射撃に夢中になっていた。
無理もない、サツキミドリから脱出する多くのシャトルにバッタ達はだめ押しで襲いかかっているのである。それらをアキはなるべく救おうと必死に砲撃していたのだ。
だから
ゴート『識別信号が出ていませんが』
ユリカ『ううん、出てないんじゃなくて忘れているだけ』
ゴート『なぜそう言い切れるんですか?』
ユリカ『ほら♪』
ゴート『ワイヤーに目印・・・確かに牽引の時の基本だが・・・それは車の時の話だ!!』
ミナト『蜥蜴さんたちがあれぐらいお茶目だったらねぇ』
というブリッジの会話も全然聞こえなかったし
シャトルを護衛しながらエステバリスを牽引しているゼロG戦フレームを、シャトルに襲いかかるバッタと誤認識しても仕方がないかもしれない。
「あ、アキさん!あれは味方・・・」
「え?なに!?」
とかいいながら、思わずリョーコのエステに照準を合わせてしまったのも仕方のないことかもしれない。
でも・・・
ダキューーーーーン
「あ・・・引き金引いちゃった。てへ♪」
っていいながらブリっこして誤魔化そうとしてももう遅い。
『#%&!!!!!!!!!!!』
思いっきり焦った叫び声が大音響と共にそこらかしこのウインドウから流れたのは言うまでもなかった・・・。
ってことで後半に続きます。
取り敢えず前編ですので前回と同様にポストスプリクトは女アキトことアマガワ・アキさんへのインタビューという形式に変えさせていただきます。
アキ「ちょっと・・・
Snow whiteとBlue fairyとかって何!?」
−なにって・・・奥さん'sでは?
アキ「っていうか、何で彼女達がこんなところに?」
−なにって・・・・浮気の調査じゃないんですか?
アキ「浮気なんてしてないぃぃぃぃ!!」
−んじゃ、お助けマン
アキ「いいのか?彼女達みたいな相転移砲並の反則技持ち出して・・・
世界観が崩壊しないか?」
−まぁ、大丈夫じゃないんですか?どうせさしたる影響もないところでちょこっと現れるだけだから・・・・小池さんのように
アキ「小池さんって・・・・・あのラーメン食べてる人?」
−そう
アキ「・・・・・・別にやましいことはないからいいけど、そのうち通行人Aとか電柱役とかで出てこられたらすっごくイヤかも」
−リクエストがあればちょい役でまた出すって言ってたぞ。筆者が
アキ「・・・・・マジですか」
−「お仕置きだべぇ〜」って、イツキちゃんとの浮気の件とか・・・
アキ「だから浮気なんかしてないといっとろうがぁぁぁ!!!!!!!(木連式柔炸裂)」
−・・・・・・というわけで後編をどうぞ。
←BACK | TOPへ戻る | NEXT→ |
SS navigationbar(version1.1) by 大塚りゅういちの隠れ家 |