「火星のみんなを救いに行こう!」
志だけは立派なんですが、みんなの本音を言えばそんなめんどくさいところに行きたくないのは道理なわけで。
だから高給叩いて餌で釣ろうが、
高説垂れて人々を鼓舞しようが、
それで人の意識が変わるわけもなく・・・
とりあえず自分の今いる環境を変えようって事で一致はしたわけですが。
まぁ、給料もらってるからって理由だけで行くよりかは万倍マシなんでしょうけど。
ああ、これってSecond Revengeのラストとは何の関係もありませんのでそのつもりで。
少女は唖然としていた。
彼女はしばらくの間、実家の用事などで3週間ほど休暇届けを出して実家に戻っていた。
まぁ、彼女が働き者だったというか、
隊長の不祥事の後始末に追われていたとか、
そのために休日返上で残業しすぎていたとか、
そのため上司が見かねて強制的に休暇を取らせたとか、
まぁ理由はいろいろあったがとにかく彼女は職場を3週間ほど留守にしていたのだ。
「よし、これからも隊長の元で頑張ろう!」
あれだけヘロヘロになって働いていたにも関わらず、休暇から戻ってみればこんな事を考えるあたり、彼女は根が真面目なのであろう。
ナデシコに登場するには希有まれな人物である。
しかし、彼女がなぜそれほど隊長を慕っていたのだろうか?
たとえば自らを魂の名前「ダイゴウジ・ガイ」と呼ばせてみたり
たとえば彼女に「火牡丹お竜」などと魂の名前を付けて呼んでみたり
たとえば昔のアニメを100回も全話ブチ抜きの上映会に誘ってみたり
たとえばデルフィニウムで格闘戦の訓練などをやらされたり
たとえばその後、機体を思いっきり傷つけたことを整備の人に怒られ、隊長の替わりに謝ったり
などなど、数え上げればキリはないのだが、とにかくそんな目に遭わされてもなぜ彼を慕っているんだろうか?
「あの人は純粋なんです。
地球の平和を守るために木星蜥蜴と熱心に戦ってらっしゃるんです。
まぁ、取り組み方は子供っぽく見えますが・・・」
そういって彼女は少し赤くなりながら力説する。
「そして何よりあの方は強いんです。
腕に少々自信のあった私にですらあの人は武器を使わずに勝利されました。
真面目に戦われたら宇宙軍でも10指に入るパイロットなんです!!」
やたらそのときの隊長に感激したのか、彼女は陶酔したようにそういった。
根が真面目なだけに重傷だ。
彼女も彼のような立派(?)なパイロットになりたいと誓いも新たに帰ってきたのだ。
しかし、彼女も次のシーンでは愕然としていた。
「え?ヤマダ?
イっちゃん、知らなかったの?
あいつ軍を辞めたよ。」
「へ?」
「あいつも冷たいよな。ネルガルからスカウトに来たらさっさとあっちに行っちゃうし。イっちゃんもかわいそうにね。
ああ、これ奴からイっちゃんへの置き手紙。」
「・・・・はぁ。」
何が起こっているのかわからずに彼女はヤマダ・ジロウからの手紙を受け取る。
そしてショックの抜けきらぬまま、手紙の封を開けて便せんを取り出して読んだ。
そこには汚い字でこう書かれていた。
『やっぱり足のないロボットはダメだ。
ゲキガンガーが俺を待っている!!
ダイゴウジ・ガイ』
これを読み終わった・・・というか読み終わるまでにさほど時間はかからないのだが・・・彼女はブルブルと震えだした。
「た、隊長のバカ!!!!!!!!!!!!!!!」
その少女イツキ・カザマ准尉の叫び声がステーション内に響きわたったのは言うまでもなかった・・・。
筆者はセガサターン版 the blank of 3yearsを未見です。
従ってこの物語に登場するイツキ・カザマという人物は筆者の独断と偏見で性格付けされております。
セガサターン版 the blank of 3yearsを遊ばれて、
『こんなの俺の愛するイツキちゃんじゃねぇ!!』
『イツキちゃんは絶対カイトと結ばれなくちゃいけないんだ!!』
と叫ばれても当方では一切責任を負えませんのであしからず
「ナデシコ許すまじ!!」
そんなシュプレヒコールが会場を埋め尽くしていた。
まぁ仕方ない。ナデシコの拿捕が失敗した結果が報告されていたからだ。
民間の、しかも高々一隻の艦に軍艦3隻が拿捕に向かってケチョンケチョンにされて帰ってくれば怒りたくもなろう。
だが、
ムネタケが行ったことは明らかに海賊行為だし
コウイチロウが拿捕をする法的根拠はないわけだし
クロッカスら二隻を失ったのはチューリップのせいであり、別にナデシコの責任ではない。
そもそもナデシコを軍で徴発したければネルガル本社と直接掛け合えばいいわけで、それを断られたからといって直接軍事行動にでれば反撃されても文句は言えまい。
第一、たかが戦艦3隻程度の戦力で取り押さえられる様なナデシコを本当に軍は欲しかったのだろうか?
「地球防衛が国是のこの時期に軍に協力しないとは何事だ!!」
そのへんを省みる事なく、自分たちの不甲斐なさをナデシコに責任転嫁するあたり軍の追いつめられぶりが如実に現れていておもしろい。
「ナデシコがその気なら全軍をあげて・・・」
「総司令・・・通信です」
「なんだ?会議中だぞ!どこからだ!」
「ですからそのナデシコからです・・・」
「・・・・つなげろ」
秘書のその言葉に連合軍総司令は緊張した。
大枠のスクリーンに映し出された光景に総会の出席者は唖然とした。
『明けましておめでとうございます♪』
晴れ着姿のユリカがシュタ!!と手を挙げて挨拶したからだ。
今は正月じゃねぇ!って誰かがツッコミを入れたがユリカは気にする風でもない。
「おお、ふじやまげいしゃ!!」
「かぶき舞妓ガール!!」
「美少女いっぱい♪」
一部へんな歓声があがるが、それも無理はない。
艶やかな晴れ着で着飾るユリカはもちろんだが、カメラはそのまま右手にパーンするとその横にずらりと晴れ着姿の美少女達が並んでいたのだ。
相変わらず無表情なラピスはそれでもどこかうれしそう。
薄桃色の晴れ着がかわいい。
隣のルリは『もうどうにでもして』という感じであきらめ顔をしていた。
こちらは瑠璃色で柄はラピスとお揃い。
さらに隣のミナトはおちびさん二人を眺めて終始御満悦である。
胸は苦しそうだが、緑の晴れ着が艶やかだ。
そのさらに隣のメグミは髪の毛とお揃いなのか、紫色の渋い晴れ着だ。
ちなみに胸は苦しくなさそうだ。
その後ろのホウメイガールズは制服とお揃いの黄色の晴れ着だ。
やはり5人そろうと華がある。
そして極めつけは黒尽くめの姿をした異彩を放つ女性である。
黒地に金糸の刺繍が美しい晴れ着、これはまぁいいとしよう。
黒髪はきれいに結い上げられて髪留めは高そうなベッコウ細工、これもいいとしよう。
一番異彩なのは美しいであろうと予想される目元をすっぽりと覆う黒いバイザーである。
さらには素肌が見えるはずのところは黒いインナースーツで覆われている。
それ以外の部分がビシッと着こなせているだけに非常に惜しかった。
でもそれを減点しても居並ぶ女性陣の中でなお一番の称号を彼女に与えるであろう。
彼女の名前をアマガワ・アキと呼んだ。
「なんで私がここに・・・」
「だってアキさんが一番連合軍を怒らせたんですから、愛想良くしてご機嫌をとらないと!!」
アキがつぶやくがユリカは笑顔を絶やさずにビシッと艦長らしい言葉で制した。
これはユリカの考案した「綺麗どころを並べて軍のお偉方のご機嫌を取ろう!」作戦であった。
ちなみにどうでもよい話だが、
アキを着付けたのはユリカ。
ルリとラピスを着付けたのはミナト。
メグミとホウメイガールズを着付けたのはホウメイであった。
ユリカとミナトがノリノリで彼女達を着付けたのは言うまでもない。
え?
ミナトはともかくユリカが着物の気付けが出来るのはおかしい?
甘い!破天荒に見えてもユリカはれっきとした良家のお嬢様であり、そのぐらいはたしなみとして身につけているのであった。
「破天荒なんて失礼です。プンプン!!」
あ、失礼しました。
んで、このお色気作戦はどうなったかというと・・・
『ビッグバリアを通してくれるとユリカ感激なんだけど♪』
「君たちはまず礼儀というものを覚えた方がいいぞ!!」
『あらご挨拶。では実力行使で通っちゃうもんね♪』
「!!!!!!!!!!!!」
結局は元の歴史通り、軍人さんを怒らせただけで終わってしまったのだった。
「アキさん、45%
ルリちゃん30%
ラピスちゃん15%」
あとユリカさんとミナトさんとメグミさんにホウメイガールズさんをまとめて10%です。
残念でしたねぇ、提督のお嬢さんは・・・」
「なぜだ!ユリカぁぁぁぁぁ!!」
人気投票の結果を聞いたコウイチロウの絶叫が総会会場にこだました・・・。
まぁ、一部の人達には好評だったようだ。
「ええ〜〜もう脱いじゃうんですか!?」
「ええ〜って言われても・・・」
「だってそれ仕上げるのに2時間もかかったんですよ!!」
「そんなこと言われたって・・・」
非難がましく責めるユリカに苦笑するしかないアキ。
「だってこれから戦闘訓練とブリーフィングしないといけないし・・・」
「そんなことより!
なんか最近アキトってアニメにハマってるらしいんですよ!
ここは一つ二次元の女性よりも三次元の女性の方がすばらしいって教えないと!!」
「いや、だから何で私まで・・・」
そういって嫌がるアキを無理矢理引っ張るユリカ。
しかし着いた先では既に先客がいた。
「じゃ〜ん!どうです?アキトさん!
私の晴れ着姿は♪」
「うわぁ!どうしたの!メグミちゃん!!」
考えることは皆一緒。
既にメグミがアキトの部屋に乱入していたようだった・・・。
「おい、俺達はゲキガンガーの27話をだなぁ・・・ブ!!」
ガイがそんなことを口走るがメグミもそんなことは気にしやしない。
「ほらほら!アキトさん、どうです?
きれいな柄でしょ?」
「いや、そ、それは」
一方的に見せつけられて困惑するアキトにかまわずさらに密着するメグミ。
「コラ!!アキトから離れなさい!!」
もっとややこしい人物であるユリカがアキを引きずったままなだれ込んできた。
「あら、どうしたんですか?艦長」
「どうしたんじゃありません!何やってるんですか!!」
「何って、私は晴れ着を見せに・・・」
バシシシシシ!!!
両者の間に火花が散る!!
メグミの開花がシナリオより若干早いが・・・まぁおもしろいから許可!!(爆)
「あの・・・アキさん・・・
きれいですね」
「へ?」
ポっとアキトが顔を赤らめながらアキの晴れ着姿を見ていた。
「あ、ありがとう・・・」
何とも表現のしづらい表情をしてその場を誤魔化そうとするアキだがそれは成功していないぞ!!
「まじまじ・・・なんかいい雰囲気作ってますよね?」
「まじまじ・・・そうそう、イヤーンってな感じで・・・」
いつの間にか争いをやめてアキト達をまじまじと眺めるユリカとメグミ。
「ポ!」
『なんでそこで顔を赤らめるんだ!!』
と心の中でアキトに絶叫するアキだがそんな事を周りはわかっちゃくれない。
ますます怪しい雰囲気に取られてしまう。
そこに救いの神と言おうか、単に騒ぎを大きくしに来ただけと言おうか来客があらわれた。
「じゃじゃ〜〜ん!!
ほらほらアキト君、ルリルリとラピラピの晴れ着姿だよ♪♪」
「み、ミナトさん!?」
部屋に乱入してきたのは両手にルリとラピスを引き連れてきたミナトであった。
ミナトは先客などものともせず、二人のおちびちゃん達を無理矢理アキトの目の前まで連れてきた。
「どうどう?可愛いでしょ♪」
ミナトは既にデレデレである。
おかげでルリは怒るに怒れず、我慢しながらも真っ赤になってうつむいていた。
ラピスは相変わらず無表情だが、ちょっと誇らしげだった。
「二人とも・・・かわいいよ」
でた!!
必殺アキト流ジゴロスマイル!!
「・・・・・・・・・・・・・・バカ・・・・」
「かわいい・・・ほめる言葉・・・喜ぶべき言葉・・・」
ルリちゃん、ラピスちゃんともに一発でノックアウトであった。
「いいな!いいな!アキト!!あたしは?」
「アキトさん、私の方はどうです?」
それを聞いたユリカとメグミも誉めてもらおうとアキトに群がったからよけい騒ぎが大きくなる。
もっと始末の悪いことに・・・
「「「「「アキトさん!アキさん!!私達の晴れ着見て下さい!!」」」」」
ホウメイガールズまでやってきてアキトの部屋はごった返した。
後はごらんの通り・・・
ガイ「俺達はゲキガンガーをみて友好を深めようとだな・・・」
ユリカ「ほらほらアキト、帯引っ張ってみて!アレーってやってあげるから♪」
メグミ「じゃぁ、私は『持病のしゃくが〜〜』ってやってあげますから!」
ミカコ、ジュンコ、ハルミ「お姉さま〜〜♪」
ミナト「ほら、ラピラピ!!お姉ちゃん達に負けないで!!」
ラピス「アキの添い寝は私のもの・・・」
アキ「あ、あたしは関係ないんだからやめて!!」
ルリ「・・・・・・・・・・・・バカばっか・・・・」
「だぁぁぁ!!!お前ら全員出てけ!!!!!!!」
アキトの絶叫がナデシコ船内に響きわたったのは言うまでもない・・・。
・・・しかしいいのか?晴れ着ネタでここまで引っ張って?
「なんだ、お前ら!その態度は!」
ゴートがへとへとのアキやアキト、それにガイを見て少し憤慨していた。
「いや、これにはのっぴきならない事情がありまして・・・」
晴れ着は着替えて普通の姿に戻ったアキはたれパンダのごとく机に寝そべりながら答える。
「・・・まぁいい。それよりも、アマガワ。
これが当面の戦闘パターン表だ。
これを元に訓練しておいてくれ」
「え?あたしっすか?」
ゴートが指示書を渡すのをアキが驚いた様子で答えた。
「そうだ、お前が一応エステバリス隊の隊長だからな」
「ええ!?聞いてないわよ!!」
「なんだ、不服か?」
「っていうか、そこまでの給料はもらってないよ!」
アキはその処遇に反対した。彼女はあくまでも本来の歴史からすれば存在しない人間だ。目立たずにすむなら目立たない方がいい。どのぐらい歴史に影響を与えるかわからないからだ。
しかし・・・
「新米のテンカワに下士官並の給料が出てるのはお前とペアで使うことを前提にしているからだ。そうじゃなければお前の給料は大尉クラスが振り込まれているはずだ。
足して2で割ってることを頭に入れてくれ。」
ゴートがなにげに厳しい現実を突きつける。
足される方のアキトが今のセリフでしょげ返った。
「すみません、アキさん。俺のせいで・・・」
「あははは・・・いいのよ、別に・・・」
とか言いながらゴートを睨むアキ。
しかしゴートは涼しい顔をして受け流すとぽつりとつぶやいた。
「断るのはかまわんが、そうなるとヤマダが隊長になるぞ?」
「「え?」」
「ダイゴウジだ!!」
ガイが騒いでいるがそんなのはお構いなしに二人は驚く。
「何を驚いている。ヤマダはこれでも元デルフィニウム部隊の隊長だった男だぞ?
アマガワが隊長をやらなかったら、必然的にヤマダがやることになる。」
「「ジー・・・・・・・」」
「ダイゴウジだ!!それに何だお前ら、その疑惑の眼差しは!!」
アキト達がジト目でガイを睨むが無理もない。
「で、大丈夫なんですか?その・・・」
「こら、アマガワ!どういう意味だ!!」
「能力面では問題ない。ミスターのお墨付きだ。」
「でも、プロスペクタさんって人が良さそうだから・・・」
「こら、テンカワ!!お前まで!!」
「その件に関しては俺も保証するぞ。」
ゴートが太鼓判を押すのだからきっと大丈夫なのだろう。
信じられない話だが・・・
「なら問題ない・・・かな?」
アキが深く考えもせずに言うのでゴートがくぎを差した。
「俺はそれでもかまわんが・・・
しかし、こいつが隊長をしたら・・・
お前達も魂の名前で呼ばれるぞ?」
「「ピキン!!!!!!!!」」
ゴートのあまりの言葉に二人が凍り付いた!!
ギギギ・・・とアキとアキトの首が油の切れた人形のようにガイを振り向いた。
確かめたくない事実があるかのような顔色だが、ガイは頼んでもいないのにそれを察して自信満々に説明しようとした。
「おお!俺が特別に考えておいたぜ!!
テンカワは天竜寺ハヤテ!
アマガワは鬼百合おランだぁぁぁぁぁ!!」
・・・二人はハヤテやおランと呼ばれる光景を思い浮かべてみる。
・・・・・・・・・・・・(←冷や汗だらだら)
「わかりました、ゴートさん。私がやります」
「すみません、アキさん。僕が不甲斐ないばっかりに」
「いいのよ、アキト君。戦う前に精神的被害を被るよりはよっぽどましだから・・・」
「すみません、アキさん一人を犠牲にしてしまって・・・」
「そうか、わかってくれたかお前たち!!」
三人は肩を組みながら互いに同情の涙を滝のように流していた・・・。
「くぉら!!お前ら、それはどういう意味だ!!!」
無論、ガイの絶叫を全員で無視したのは言うまでもなかった。
「しかし、意外だねぇ。
ヤマダ君がデルフィニウム部隊のパイロットだったなんて。」
「ダイゴウジ!!これでも俺はエースパイロットだったんだぞ!!」
「マジ?」
「当たり前だ!!」
アキの疑惑の眼差しにガイは必死に抗弁する。
「これを見ろ!!」
ガイは一枚の写真を見せる。
「どれどれ?」
そこにはデルフィニウムの前でたくさんのパイロット達が記念写真を撮ってるものだった。
「こいつが俺の乗っていたスペースガンガーだ!!」
確かに後ろのデルフィニウムの機体には隊長機の証しであるエースナンバーがゲキガンガーのデカールと並んで描かれていた。
「あれ?この子どこかで・・・・」
アキは何故かその中のパイロットの一人を注視する。
「どうしたんすか?」
「いえ、どこかで見た顔だなぁ〜と思って・・・」
「知り合いっすか?」
「ん・・・まぁ思い出せないということは対して付き合いがなかったと思うから別に構わないんだけど・・・・」
黒髪の長い少女・・・どこかで見たことがあるはずなのだが思い出せなかった。
それがイツキ・カザマ・・・・例のボソンジャンプにて露と消えた新人パイロットさんであることがわかるのはもう少し後である。
「というわけで地球には第1から第6までの防衛ラインがあるのですが、
バッタさんが各地で暴れて地上部隊はナデシコを追いかけたくても追いかけられませんでした。
んで現在本艦はとりあえず最初の難関である第3防衛ラインにある宇宙ステーションからのデルフィニウム部隊が出撃してくるまで高度上昇を続けているわけでして・・・
え?
一気にバビューンって宇宙にいけないのかって?
ええ、そうなんです。
ナデシコの積んでいる相転移エンジンは船の周りの真空をよりエネルギー順位の低い真空に強制的に相転移させることにより発生するエネルギーを得るものです。
従いまして、相転移エンジンが真にその力を発揮するのは宇宙に出てから。
それまでの空気のあるところはいっちらおっちらと通常航行で上昇していかないとどうしようもないんですねぇ。」
「ちょっとルリルリ、どこ向いて話してんの?」
「いえ、いい加減に筋売りしとかないと話が進まないので。」
「????」
ミナトがハテナマークを飛ばすがルリは淡々としていた。
ルリちゃん、筆者に代わって解説ありがとう。
ブリーフィングが終わったあと、アキは腹痛を訴えて自室へ戻っていた。
「う、おなかが痛い・・・」
トイレにしゃがみ込むアキだが、こんな痛みは初めての経験だった。
ふと、過去に戻る前に未来のユリカが言っていた事を思い出す。
『おなかが痛くなったらこの箱を開けて中に書いてあるとおりにしてね♪』
それがこれだとは思わないが、興味をそそられたのでユリカら女性陣一同からいただいた餞別の箱を開ける。
しばしお待ち下さい・・・
アキはそれが何か理解するのに苦労した。
そういえば女の体になってそろそろ一ヶ月ぐらいたつ。
しかし、まさか・・・・
「なぜ赤飯のレトルトパックだ?」
それに・・・
「あ、明るい家族計画?
た、体温計?
・・・これってティッシュペーパーか?」
よくわからない品々をかき分けて中に入っている手紙を取り出して読んだ。
ユリカの結構達筆な文字で書かれている手紙だった。
『アキトへ
とりあえず多い日でも大丈夫なのを1年分用意しました。
男の子と違ってうかつにやっちゃうとあとで痛い目を見るのは女の子なんだから気をつけるように!!
っていうか、女の人もそうだけど男の人とも浮気をしちゃ絶対だめだからね!!
一応、アキトはかわいいんだから可能性も考えて用意したけど、不可抗力で襲われたりしても避妊だけは絶対するんだよ!!
んで使い方だけど・・・』
と延々と続く取扱説明書を読みながらアキはようやく自分の身に何が起きているのだ自覚した。
『ガガーン!!!』
アキは自分がまた一歩着実に女性化していっていることを自覚せざるをえなかった。そしてより切実に過去を変えようと誓うのであった・・・。
余談ではあるが、その日の夕食でアキは人目をはばかって自室でレトルトパックの赤飯を食するのであった。
「うう、めでたくない〜〜」
そう思うなら食べなきゃいいのに・・・・
ってことで後半に続きます。
取り敢えず前編ですので第2話と同様にポストスプリクトは女アキトことアマガワ・アキさんへのインタビューという形式に変えさせていただきます。
アキ「ちょっと・・・
↑のってどういう意味だ!?」
−なにって・・・男の私の口からじゃ恥ずかしくて言えないような事じゃないですか。
アキ「っていうかそういうことを小説に出すこと自体が恥ずかしいだろうが!!」
−不思議ですよね?今まで何でそういう話題のストーリーにないんだろう?
アキ「そういうのは、男性には恥ずかしいんだよ。ある種、女の子の聖域だし・・・」
−まぁ、それはいいとして
アキ「いや、全然よくないが・・・・」
−やっぱり緋牡丹のお龍が良かったですか?
アキ「は?」
−それとも三代目姐の方が・・・・
アキ「だから何が?」
−いや、だから魂の名前
アキ「へ?」
−だからガイになんて呼ばれたいですか?
やっぱり姐さんってな感じの熱血な名前がいいから
蘭子とか、陽炎とか、紅蜥蜴とか・・・
アキ「まてい!!あたしは敵役かぁぁぁぁぁ!!!!!」
−え〜〜いやなの?
じゃ、可愛く「ひな」とか「ゆみみ」とか「あゆ」とか
アキ「どれもいやじゃぁぁぁぁ!!!!!!!(木連式柔炸裂)」
−・・・・・・というわけで後編をどうぞ。
Special Thanks!!
・みゅとす様
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