アバン


一つの戦いは終わった。
それは旧態依然とした人と人の業のぶつかり合い。
自責と後悔と、そして贖罪だけを残す戦いだった。

でも歴史は否応なく過ぎていく。
それは古き時代の終わり、新しき時代の始まりでもある。

全ての常識が崩壊する。
全ての遺恨を精算するために・・・。

ああ、一応このSSってPrincess of White とDC版The Missionの続編ですので
よろしく



ナデシコB・医療室


「ひま〜〜〜・・・・」
「あんたねぇ、人のところまで来てたれパンダしないの!!」
自分の机のそばでグデ〜〜っとしてる女性をイネスは叱る。
「だって、暇なんですもの」
その女性、テンカワ・ユリカ准将はふてくされながら言った。その制服、もっと言えばエリの階級章を見なければ誰も彼女がこの艦隊の最高責任者だとは思うまい。
そのくらいユリカはダレきっていたのだ。

「火星の後継者さん達の足取りもつかめないし・・・」
「あなたの場合はアキト君がいないからでしょ?」
「ぐ!」
「やっぱり図星のようね・・・」
「あははは・・・」
ユリカは誤魔化し笑いをしたのだった。



火星の後継者・拠点


「やはりもぬけのカラか・・・」
人っ子一人いないその施設を眺めてアキトはつぶやいた。
既にいくつの拠点を見て回ったのだろう?
ことごとく彼らの痕跡を見つけることは出来なかった。

アキトのユーチャリスは今ナデシコ艦隊を離れて探索の徒に着いていた。
それは一人の人物によってもたらされた情報がきっかけだった。

「やはりここにもいなかったか・・・」
「そうだな。あんたの言うとおりだった。」
アキトの振り返った視線の先にいたのはネルガルシークレット隊長 月臣元一郎であった。
彼は以前、西條の艦隊との決戦前にユーチャリスに訪れた事があった。その理由というが、その情報をアキトに伝えるためである。
『東郷達の足取りがつかめなくなってきた。夜逃げでもするんじゃないのか?』
アキトも月臣のその言葉を聞いた時『そんな馬鹿な』と思い、気にもかけなかった。第一、西條との全面対決を控えていた時期でそちらの方に集中してしまったからだ。

だが、月臣の情報は真実となった。
西條の艦隊を下した後、火星の後継者達の足取りもぱったりと途絶えてしまった。いや、実際に姿を消したのは西條の艦隊との全面衝突を見計らってのことかもしれない。

不気味なほど足取りがつかめなくなったので、ナデシコ艦隊は西條戦の残務処理以外は開店休業に近い状態に陥っていた。
そこでアキトは艦隊を離れてユーチャリスで東郷達が潜みそうな場所を虱潰しに当たっていたのだ。

「どう思う?」
月臣はアキトに尋ねる。
「やられた・・・」
「どういう意味だ?」
「西條は囮・・・というわけだ」
『なるほど。戦力の半分以上をナデシコの目を引きつける為だけに使われたわけだ。
 そりゃ誰も予想できないよね』
そこにウインドウが開く。ネルガル会長アカツキ・ナガレだ。
「盗み聞きか?」
『とんでもない。シークレットの隊員の情報は逐次モニターしてるんだよ。うちは人命第一の職場だからね。』
睨むアキトにウインクするアカツキだが、それが同時に監視の意味合いも含んでいることは明白であった。ともあれ・・・

「やつらは戦力の半分以上も使ってナデシコを足止めしておきながら雲隠れして何をするつもりなんだ?」
『ん・・・おもしろい情報がある。そのことに関係するかどうか知らないけど』
アカツキがアキトの独り言に答える。
「なんだ?」
『火星の後継者の戦艦が太平洋上で見つかった』
「ほう・・・で?」
『船体は無傷。でも生存者はゼロ』
「何でそんなところに無傷の戦艦を破棄したんだ?」
『テンカワ君、よく話を聞いていなかったようだね。
 僕は「生存者」と言ったはずだよ』
「ん?どういうことだ?」
アカツキはいつものようにもったいぶった。
『乗員がゼロなのは降りた為じゃない。』
「じゃぁ、どうなっていたんだ?
 殺されでもしてたのか?」
『クロッカスと同じようになっていた・・・そういえばわかるよね?』
「!!」

かつてチューリップに吸い込まれて、地球から火星にとばされた連邦軍の戦艦クロッカス。
そしてアキトは火星で直接その戦艦の中を探索した。
そこで見たものは・・・

ボソンジャンプに失敗して戦艦と融合してしまった乗員達の姿であった。

『その戦艦は東郷の配下のものだそうだ。
 ね、おもしろいでしょ?』
アキトの絶句した顔をみて月臣は不安にかられた。
アカツキだけはまるでおもしろい映画の予告編でも見たかのように笑っていた・・・。



???


「やっと見つかったか・・・」
東郷は感慨深げにつぶやいた。
「ええ、こちらの被害も大きかったですが・・・」
付き従う風祭は疲労困憊しながらも達成感で顔は綻んでいた。

そこは宇宙の片隅、アステロイドベルトのど真ん中。
この広大な宙域を探索するのは砂漠の中から一粒のダイヤを見つけるに等しい。
非主流派の国々を騙し、兵力を出させ、その半分をナデシコ艦隊に対する囮に使い、もう半分でその探し物を手分けして探させた。
真の目的を彼等に伝えることなく、全ての者たちを欺いて・・・

「ここまで拒絶されるとは思わなかったな。」
「ええ、我々も機動兵器に乗っていなければ危うくああなるところでした・・・」
周りには機動兵器やら戦艦の残骸が散らばっていた。
彼ら二人は夜天光改に乗ることによってようやくその場に留まるが出来た。
それほどまでにこの場所は人の来ることを拒絶していたのだ。

「探したぞ!
 遙か古より伝えられてきた古代火星人の残せし伝説の城・・・
 『夢幻城』よ・・・」
東郷の眼前にはアステロイドベルトの中に身を隠すように巨大な城がそびえ立っていた。



Nadesico Second Revenge

Chapter25 始まりの終わり、終わりの始まり



再びナデシコB・医療室


「そうそう、提督。アキト君のことだけど・・・」
「何かわかりました!?」
アキトという単語に是非もなく飛びつくユリカ。先ほどのダレ状態が嘘のようだ。
「結論から言うと、スタンピードをこれ以上進行させたくなければ、アキト君には今後戦闘をさせないこと」
「ええ〜!?」
ユリカは驚く。アキトはナデシコ艦隊の重要な戦力の柱だった。それを欠くことは戦力の半減を意味する。
「なぜですか!」
「ん・・・この前の戦闘でアキト君が突然スタンピードを引き起こしたでしょ?
 あれでスタンピードの原因がちょっとだけわかったの。」
「・・・原因って」
「たぶん、ナノマシーンは人の意識に興味を持っているみたいなの。
 それも恐怖、憎悪、そういった類いのものにね・・・」
ユリカは絶句する。

「そう考えると納得がいくのよ。
 最初はアキト君とリンクした人達にしか影響がなかったのに、そのうちネルガルの月ドック中にまで広がった。幸いプリズンが完成したからいいようなものの、あのままだと通信回線を使ってどこまでも人々の意識に触手を伸ばそうとしたでしょうね。」
「それってやっぱり・・・」
「たぶんアキト君が闇の王子として復讐にかられたのと無関係じゃない。
 その後の影響範囲を見るとぴったりと符合するの。
 アキト君が北辰と対峙すればするほどその範囲は広がって行った・・・
 互いが互いを増幅してるんでしょうね」
イネスはため息をつく。

アキトが復讐を忘れようと努めても、スタンピードがアキトの心の闇を刺激する。
そしてアキトが憎しみをもって戦えば、スタンピードは活性化されてさらに被害を広げていく。
悪循環の繰り返しだった・・・

「う・・・・・・てことはアキトが持っているナノマシーンのスタンピード自身を完治させないといけないんですね」
ユリカはマジで頭を抱え込んでいた。
「まぁそういうことね。だからアキト君に戦闘はなるべくさせな・・・」
「んじゃ、本格的にプレートの解析に取りかかりましょう!!
 もう、頼りはイネスさんのもってるあのプレートを解析するしかありません!!」
「へ?」
ユリカは握り拳を作って高らかに宣言した。
呆気にとられるイネス。

ユリカが言っているのは火星会戦の時にアイちゃん(子供の頃のイネス)が古代火星人から受け取ったという小さいプレートの事だ。古代火星人の技術について何か書かれていればアキトのナノマシーンを治療する手がかりになるかもしれない。

「私もお手伝いしますから、一緒に不眠不休で頑張りましょう!!」
「ちょっと、あなた提督でしょ!?仕事は?」
「大丈夫です。ジュン君がやってくれます!」
「ってそういう問題じゃ・・・」
「私これでも小学校の頃、作文で『よくできました』を花丸五重丸でもらったことがあるんですから♪」
「って、何時の話よ!!!」
「いいから私にも見せて下さい!!ちょちょいのちょいで解析して見せますから♪」
「やめて!!解けるものも解けなくなる〜〜」

イネスに飛びかかるユリカ。
プレートを奪われないようにするイネス
二人の壮絶なバトルが始まった。

ユリカ「ほら出すもの、さっさと出して下さい!」
イネス「だ、ダメっていってるでしょ!!」
ユリカ「いいからいいから。出さないとくすぐっちゃうぞ!」
イネス「や、やめなさい!!」
ユリカ「うりうり♪」
イネス「あ・・・・・あん♪」
ユリカ「どうです?これが人妻のテクニックですよ♪」
イネス「ってあんた新婚旅行にすら行けてないくせに!!」
ユリカ「その新婚旅行に行くためにもそのプレートを解析しなくちゃいけないんでしょ?」
イネス「だから、あれはあなたぐらいが手伝っただけじゃ到底・・・」

??「んじゃ、私が手伝いましょうか?」

ユリカ&イネス「え?」
二人はそこで手を止めた。確かに聞き覚えのある幼い声

ユリカ「ゲッ!!ルリちゃん!?」
ルリ「『ゲッ!!』って言われるのは心外なんですが・・・」
ユリカが振り返った先には少し『怒ってます』ポーズを取りながら顔は至って平然としているホシノ・ルリ中佐が立っていた。
しかし平穏な顔にしてはその周りの温度が2、3度下がっているのがやけに怖かった。

ユリカ「な、なんでルリちゃんがここに・・・」
ルリ「いえ、最近ユリカさんの行動が怪しいので後をつけさせて頂きました。
 それよりも、お二人ってそういう関係だったんですね・・・」
ルリは少しにんまりと笑って二人を眺めた。
そこで改めて自分達の姿をみるユリカとイネス。

イネスは白衣が肩からはだけており、ユリカはスカートがまくれあがっていた。
そんな格好でイネスを組み敷くユリカ・・・
今スナップ写真をとって人に見せれば十人中十人が「百合な二人」と勘違いしてくれる事請け合いである。

イネス「あ、あのこれは違うのよ〜ホシノ・ルリ!!!」
ユリカ「そ、そそうよ、ルリちゃん!!そんな関係じゃないのよ!!」
ルリ「ふう〜ん。じゃ、何をやっていたか教えてくれますよね?」
ルリはにんまりと笑った。ルリの周りではオモイカネが即興で作った
『スクープ!!提督とドクターの禁断の不倫!!!』
などというウインドウが写真入りでヒラヒラ飛び交っていた。
ユリカ、イネス「・・・・・はい、話します・・・・」
ユリカたちはうなだれて素直に話し始めた。



夢幻城内


その城の中を2機の夜天光改が歩いていた。
不思議な事に重力や酸素はあるらしい。
「驚きです!まさか古代火星人がこれほどの施設を持っていようとは!」
「まぁ、火星極冠遺跡の構造から見て十分推測できた事だがな・・・」
風祭の驚きの言葉に、東郷は解釈を加える。

「しかし、こんなものがなぜここに・・・」
「その問いに答えるのは難しい。
 それは『なぜ古代火星人が火星から消え去ったのか?』とか、『なぜ木星周辺にプラントが残されていたのか?』などの質問の答えと根源は同じかもしれないからな。
 研究が進めば後世の考古学者がいろいろと講釈を垂れるだろうが、それは今あまり重要な事ではない」
「はぁ・・・・」
古代火星人の出没を大したことと言いきれる東郷に風祭は舌をまく。
「風祭、お前は不思議に思ったことはないか?」
「何がですか?」
「今の時空跳躍には明らかに欠けているものがある」
「欠けていると申しますと?」
東郷は語り始めた。この城の存在理由を。

「時空跳躍・・・これは特定個人の私用目的で発明されたものじゃない。
 整備された交通インフラとして立派に確立されたものだ。
 それは跳躍門(=チューリップ)の存在からもうかがえる。
 だが、決定的に何かが足りない。
 何かわかるか?」
「・・・・申し訳ありませんが、わかりません。」
風祭は恐縮したように言う。
「管制システムだよ」
「管制システム?」
「そうだ。交通手段はその進歩と共に管制システムが発達してくるものだ。
 例えば自動車。
 黎明当初は道路も整備されていない。ましてや信号などなかったはずだ。
 だが、台数が増え、走行速度があがるにつれて事故が多発し出した。
 当然、事故を防ぐ為にそれらを管理する存在が発生する。
 船舶しかり、航空機しかり、宇宙船しかり。
 現在では我々がヒサゴプランを作り出したようにだ」
「なるほど・・・」
「だが、今の時空跳躍システムにそれらが決定的に欠けている。
 確かに跳躍門は存在するし、跳躍用の演算装置も存在する。
 だが、それらを統括管理するシステムがどこにも見当たらない。」
「でも、遺跡の演算装置がその役割を果たすのでは・・・」
風祭が疑問を投げかける。
「いや、それはない。アレはただ黙々と演算するのが役割だ。
 もし管理まで司っているのなら跳躍対象が過去に行ったり未来に行ったりするわけがない。」
「あ・・・」
「交通インフラとして成立するなら、それは安全性が十分担保されてのことだ。
 自動車、航空機と進化するにつれ、それらの管理はより厳格になって行く。
 事故が起こりやすいからだ。
 そして時空跳躍はその性格上、時間軸の移動、および同一地点へのジャンプアウト。
 それに無秩序な跳躍地点の設定は致命的な事態を引き起こしかねない。
 政治、経済、道徳、貞操・・・あらゆる概念が覆りかねない。
 しかし跳躍門まで作っておきながら、それらを管理するシステムを用意しないというのはどう考えてもおかしい。」
「なるほど、そしてこの城がその管制システム・・・というわけですね?」
「ああ、そういうことだ。」
風祭の言葉に東郷は不敵に笑った・・・。



再びナデシコB・医療室


「プレートの解析・・・ですか?」
ルリはユリカ達の話を聞いて驚いた。
「どうしてそんな大事な事を教えてくださらなかったんです?
 私がいくらでもお手伝いしたのに・・・」
ルリは気を取り直すと少し怒った口調で詰問した。仲間外れにされたと言おうか、自分は信頼されていなかったのが不満のようだ。
「でもでも、何が書いてあるかわからないんだよ?」
「そう、喜ばせておいて、大したことしか書いてなかったらがっかりすると思って。」
必死に言い訳する二人。
ヘビに睨まれたカエルのように必死に言い訳する二人を見てルリは逆に情けなくなった。

「もういいです・・・。
 それよりもどこまで進んでるんですか?その解析は」
「その・・・ほとんど手つかず・・・」
もじもじするイネスにずっこけるルリ。
アレだけもったいぶられてほとんど進んでないなんて!!

「・・・分かりました。出来ているところだけでも構いませんから見せてもらえます?」
ルリはそういうとイネスから記号の羅列が書かれたノートを手渡された。

ルリ「ふ〜ん、これは難しそうですね。」
イネス「でしょ?言語形態は日本語、中国語、ラテン語等々、地球上のどの言語とも類似性がないのよね。」
ルリ「確かに・・・単にこれだけ見ると乱数に見えなくないですね」
ルリとイネスはいきなり学術的な議論に入って行った。

ユリカ「る、ルリちゃん、わかるの?」
ルリ「わかるってほどじゃないんですが、システム掌握に使う暗号解読もまぁ言ってみれば一種の言語解析に近いですし・・・」
イネス「でね、一番ネックになっているのが子音と母音との判別なの。
 これさえ突破すればある程度の言語の体系が分かり出すんだけど・・・」
ルリ「そうですね。見た目上はあまり関連性が見えないような・・・」
ユリカ「あの・・・・・・」
ユリカの質問にそっけなく答えるとルリはイネスとの論議に熱中した。

ルリ「ここをキーに調べられません?」
イネス「わたしもそれは検討したんだけど、ここと組み合わせると途端に破綻するのよね〜」
ユリカ「ちょっと・・・私にも」
ルリ「いえいえ、そういう組み合わせ方をするからおかしいんですよ。
 そこはそうじゃなくって・・・」
イネス「でもそれはおかしいんじゃない?言語素体学からすれば・・・」
ユリカ「私にも・・・見せて・・・」
ルリ「古代人にそんな学問を当てはめても・・・」
イネス「でもそんなこと言ったら何を基準に調べれば・・・」

「もう!!!私にも見せてください!!!!!」
ユリカを無視して二人が論議に集中していたので、ついにユリカが爆発した!!!

「私に見せて!見せて!見せて!見せて!見せて!見せて!!!!」
ユリカは駄々っ子のように暴れて手がつけられなくなった。
「分かりましたから叫ばないで下さい・・・」
仕方ないのでルリは困った顔をしながらユリカにノートを渡した。

ルリ「汚さないで下さいね。」
ユリカ「わかってるわよ、もう!
 二人ともだらしないなぁ。こんなのも読めないの?」
ルリ「ユリカさん、読めます?」
ユリカ「読めるわよ!これでもナデシコの提督さんなのよ♪」
ルリにはユリカがなぜここまで自信たっぷりなのかわからなかった。
少なくとも地球圏でほぼ最高の頭脳を誇るルリとイネスがてこずっているのだ。
ユリカごときが解けるはずもない・・・。
ルリもイネスもそうタカをくくっていたのだ。
だが、彼女達は未だにわかっていない。
ユリカがどこまで非常識なのか。
いや、性格の話ではなく・・・

ユリカ「ぼ?ボソンの・・・・・」
ルリ、イネス「・・・・・・・」
何の迷いもなくその文章を読もうとするユリカにルリとイネスは目を丸くした。
ユリカ「ふぇ?フェルミオン?」
ルリ「・・・・・・・ユリカさん、マジ?」
ユリカ「なにが?」
ルリ「それ、マジで読んでます?適当じゃなくって?」
ユリカ「適当って失礼ね!ちゃんと読んでます!!」
ユリカは心外のようにプンプンだった。
ルリ「本当に?本当の本当に?引っ込みがつかなくなったからじゃなくって??」
ユリカ「ルリちゃん・・・私ってそんな嘘つくような人に見える?」
ルリ「・・・見えるから聞いてるんですけど・・・」
ユリカ「びぇぇぇぇぇぇぇ!!!ルリちゃんが意地悪言う〜〜〜」
あまりに信用してもらえないのでユリカは泣き出した。

ルリ「イネスさん、どう思います?」
イネス「嘘ついているようには見えないけど・・・」
ユリカ「ユリカ、嘘なんかつかないもん・・・」
ルリ「でも・・・これをボソンと読みますか?」
イネス「ん・・・確かにそう読むのはつらいけど・・・
 あれ?でも待って・・・」
ルリと相談し出したイネスだが、その単語を睨んでしばらく考え込んだ。

イネス「・・・・そう言われてみれば確かに盲点だったわ!!
 ふむふむ」
ルリ「イネスさん?」
イネス「そうよ!これを言語と解釈しようとするから問題があるんだわ。単なる符号化理論に則って考えれば・・・」
ルリ「へぇ〜確かにそうすればこれをボソンと呼ぶ事は不思議じゃないですね」
ユリカ「だからさっきから私は読めるって言ってるじゃないですか!!」
ユリカが怒るっているにもかかわらず、二人は新たに見つかった解読の手がかりに興奮していた。

ルリ「でもおかしいですねぇ、ユリカさんはなぜこれをボソンと読めたんですか?」
イネス「本当に。」
ユリカ「なにって・・・」
二人が好奇の目をユリカに向ける。怯むユリカであるがそこはユリカ、すぐ気を取り直す。
ユリカ「だって、これはどう読んでも『ボソン』としか読めないでしょ?」
イネス「だからなんで?」
ユリカ「いや、なんでって言われても・・・」
そう改めてツッこまれるとユリカも答えに窮する。
そういえば自分はなんでこれをボソンと読んだのだろう?

「ん・・・・だってこれはボソン以外に読みようがないかなぁ?と思って・・・」
ユリカは自分がどうしてそう読んだのかわからないようだった。
強いて言えばリンゴをみて「リンゴ」と発音するのに誰も意識しないのと同じなのかもしれない。
「「う〜ん・・・・・・・・・・・・」」
ルリとイネスは考え込む。なぜユリカにそんな芸当が出来たのだろうか?
「「!!!!!」」
ふとルリとイネスは顔を見合わせた!

ルリ「そうですよ!!」
イネス「きっとそうだわ!!」
ユリカ「え?なになに」
うれしそうに頷き合う二人に戸惑うユリカ。
ルリ「ユリカさん、すごいですよ!!」
イネス「今ほどあなたが頼もしく見えたことはないわ!ミスマル・ユリカ!!」
ユリカ「テンカワです!って何がですが?」
ルリに両手を握られて、イネスに肩をたたかれて、訳のわからないユリカ

ルリ「つまりですね。ユリカさんって以前遺跡の演算装置に融合されていたじゃないですか」
ユリカ「ああ、その事ね。おかげで肉体年齢が3才低くなってうれしいやら悲しいやら・・・
 で?そのことがなにか?」
イネス「つまり、あなたは遺跡の演算装置と人類のインターフェイスになっていたわけだけど、そのために古代火星人の言語体系をそれとなく理解できるようになっていたのよ!!」
ユリカ「ほぇ〜〜」
ルリとイネスに説明されて初めて自分が何故プレートの文字を読めるようになったのか理由に気づくユリカ。

イネス「これでプレートの解析は一気に進むわよ!!」
ユリカ「って事はアキトの治療が可能になるかもしれないんですね!!」
イネス「まぁまぁ、それが出来るかどうかわからないけど・・・その可能性がゼロではなくなったのだけは確かね」
ユリカ、ルリ「バンザイ!バンザイ!」
イネス「これから少し手伝ってもらうけど、いいわよね?」
ユリカ、ルリ「もちろんです!!」
三人は手に手を取って喜んだ。



夢幻城内・メインゲート前


二機の夜天光改はやがて巨大な門の前にたどり着く。
「古の昔より伝えられてきた城・・・・
 あるいはバンデモニウムと呼ばれたり、ヴァルハラと呼ばれたり・・・
 だが、そのいずれも約束されるのは圧倒的な力。
 『MARTIAN SUCCESSOR』さえも制することの出来る力・・・」
「確かに、先の攻撃を見れば・・・」
東郷の言葉に風祭は思い出したくないように答える。

あっと言う間に艦隊が全滅する姿
グラビティーブラストやボソン砲の効果をキャンセルされ、逆にそれらを圧倒的な威力でやり返される。
不必要に近づいた艦は強制的にボソンジャンプさせられる。
全く歯がたたなかったが、ともかくディストーションフィールドを解除して機動兵器が近づくことだけは出来た。

「生き残った兵達は?」
「始末させました、あの者たちに・・・」
「六人衆・・・まぁ北辰亡き後よくおめおめと生き残っているものだが、あいつらには適任かもな」
「しかし、信用できますか?あやつら」
風祭は疑問を呈する。
いくら日和見に近づいてきた統合軍の艦隊とはいえ、さっきまで自分達の指示通りにわけのわからないモノを探索させられたあげく、見つけたと同時に口封じに始末されるなんて・・・。
その罪悪感もないことはないのだが、それ以上にその役目を喜んで引き受けた六人衆に嫌悪感を抱いていた。
「あいつらは黒百合とナデシコに復讐することにしか頭にない。
 まだ利用は出来るさ。
 それよりも・・・」

東郷の夜天光改は眼前の門に手を近づける。

バチバチバチ!!!!!

「閣下!!」
「大丈夫だ。しかし・・・」
視線を向けると夜天光の腕は指先から奇麗に吹き飛んでいた。
「ディストーションフィールド?
 いや、もっと強固な何かだな。
 資格のないものは是が非でも入れたくないらしい・・・」
「驚かせないで下さいよ・・・」
風祭にはそんな事実よりも東郷の身が心配だった。

「やはり証しが必要なのか」
「証し・・・ですか?」
「ああ、あのウインドウを見ろ」
門の前にウインドウが開き、そこには今まで見たこともない文字が書かれていた。
「『証しを示せ』とある。あそこの小さな挿入口にか・・・・」
文字と一緒に現われた矢印は門の取っ手の下にはあるスロットを指していた。ちょうど小さいカードをさせるだけの大きさの穴があった。
「証しとはなんですか?」
「さぁな。古代火星人である証しかもな・・・」
「それではせっかく城を見つけても使い物にならないではないですか!!」
風祭はたまらず叫ぶ。だが東郷の瞳はまだ余裕があった。

「そんなことはない。
 かつてたった一人だけ、古代火星人と接触できた人類がいたらしい」
「古代火星人と接触・・・ですか!?」
「ああ、彼女はその時、古代火星人からあるものを託されたらしい。
 このぐらいの小さなプレートだったそうだ。
 もしも、古代火星人が現われるはずもない未来からの漂流者と遭遇したとしたら・・・
 何を考えると思う?」
「まさか!?」
「そう、機能していない管理システムを始動させるキー・・・
 こいつの言う『証し』なるものだとしたら・・・
 手に入れたものは時空跳躍の全てを手に入れられると思わないか?」

人類でたった一人古代火星人と遭遇した少女・・・・・
アイ・・・いやイネス・フレサンジュ
彼女の顔写真の入った諜報結果をみて、東郷は不敵に笑った。



ナデシコB・医療室


「バンザーイ!バンザーイ!」
何も知らないイネスはユリカやルリとただ無邪気にアキトの病気が治るかもしれないと喜んでいた・・・。

See you next chapter...



ポストスプリクト


ってことで最終章 夢幻城編の開始です!
尺はとりあえず決まってません。
短ければあっと言う間に終わるかもしれませんし、
長いとやはり10話ぐらいかけるかもしれません。

やっぱり火星人がどこから来たのかとか、どこに行ったのか?とかはやれませんねぇ。
ともあれプレートの謎などをEXZS風に味付けしてみました。
この期に及んで新キャラなんかは出したりしないと思います・・・たぶん。
次回は出す出すと言っていたメグミがやっと出ます。

どんな役かは・・・まぁだいたい想像はつきますが、いろいろ想像しておいて下さい(苦笑)

ってことでご期待下さい!!

では!

Special Thanks!
・ふぇるみおん様
・みゅとす様
・紫焔 様


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