Nadesico Second Revenge
Appendix:Liner notes9



ライナーノーツ9


というわけで、一応本編では語られなかった裏話やらを乗せておきます。
現在進行形のネタが切れれば順次更新します。
Second Revenge編ではちょっと志向を変えて現状(今回はChapter1〜Lastまで)のストーリー設定などを載せていきたいと思います。



メグミとコトネに関して


メグミに関しては当初、漠然と出したいなぁ〜というぐらいにしか考えてませんでした。
Chapter12の頃は単にナデシコに合流するぐらいの話しか考えていなかったのですが、実際に今のプロット通りになったのがChapter16ぐらいのこと。
その段階で犯人役のメグミがらしく見えすぎないためのミスリード役としてカザマツリ・コトネが設定されました。
あからさまに敵副官風祭と名前をダブらせて気を引かせるためです。
設定も結構唐突に思いついたのですが、わざとらしく夢幻城編でルリやメグミらと絡ませるために伏線をはる時期のぎりぎりのタイミングだったなぁと冷や汗をかいてます。
(もう少し遅かったらミスリードのキャラとしてわざとらしかったかもしれません)

メグミの活躍に関してはあまり心配してませんでした。
後半裏切りが発覚するシーンやケンやアキトに接近してルリの感情を引っかき回すというプロットがあったし、まぁ彼女の性格ですからほっといてもはじけるだろうと。

でも反面苦労したのが、コトネという存在。
ほとんどケンの金魚の糞でしか登場しないので気を抜いてしまうとほとんど活躍しない。活躍しないと夢幻城編でのミスリード役になり得なくなってしまう。
ですので改めて読み返すとコトネというキャラの登場が結構記号的にしか出てきていない(意識したところでしか出ていない)ということが何となくわかると思います(苦笑)



傀儡とペルソナに関して


Chapter32でルリを刺して悪役に躍り出たメグミですが(笑)
実は傀儡、ペルソナをかけられていたということになります。
作中では傀儡とは一種の催眠術という乱暴な解説をしていましたが、もう少し正確に言うと催眠術、暗示術を広範囲に応用したものです。

印象操作術:自分の特徴を平坦化させて相手の記憶に残らないようにする。
 またはある特徴を際だたせて他の特徴を消し去る方法
 風祭はこのスペシャリストで体格さえ似ていればかなりの人物になりすます事も可能だったとか。

暗示催眠術:特殊な方法により記憶や特定の考え方を相手に植え付けるもの。
メグミは主にこれにかかり、ナデシコ艦隊潜入への意志を植え付けられたようです。
Chapter26あたりでその気にさせられているのは単なる話術の妙だけではないのです。

群集心理操作術:主に集団催眠とか呼ばれていたりもしますが、これもChapter26で劇ガンを使って風祭が仕掛けていたことです。
群集心理を利用すれば案外一対一の催眠よりも群衆の方が心理誘導しやすいのです。互いが互いにありもしない情報を補完し合うので。

このように傀儡は元々武術というよりは忍術・・・スパイによる敵への索偵術として発展していました。そして相手の思考の流れを操作して自分の動きを誤魔化すというエッセンスだけを取り出して戦闘に用いたのが傀儡舞となります。(という勝手にでっち上げた設定ですが(笑))

さて、次にペルソナですが、これは傀儡+ナノマシーンによる人格操作術と言えます。
元々はTV版で見られたようにナノマシーンの人為的操作により抑圧された人格が引き出されるということに着目したものです。
発案者はあのヤマサキ博士で一部、アキトに行っていた人体実験の成果がフィードバックされているようです。たぶん、ユリカのイメージコントロールの一手法として検討されていたのでしょう。

基本は主人格を専用ナノマシーンでハッキング、押さえ込まれていた第二人格を傀儡にて都合のいい人格に変更してしまい、操作しようというものです。
はなから人格改造してしまう方法に対する利点は、主人格が健在なので潜入させてもまず見破れないことです。
今回のメグミのように一度懐に侵入させて信用させてしまった後、好きなタイミングでペルソナを起動するという、まさに人間版トロイの木馬なのです。

メグミにこの処置が施されたのはたぶんChapter26のナデシコに乗り込む前の状態の時でしょう。(作中にそのシーンはありませんが、ミスリードをしようとしていたので書けるはずもありません(笑))



ブルーエンターテイメント


東郷らが地球の情報収集用に確保していた芸能系のダミー会社の一つです。
登記的にはネルガル系列らしいけれど、巨大なコングロマリットに陥りがちな末端まで目がいかないことを利用してこっそり作っていたらしい。
実際にオリジナルのカザマツリ・サカキが働いていたと思われ、それなりに実績は積んでいたようだ。もちろん傀儡という技を使ってのことですが。

元ネタは察しのいい人はわかっていると思いますが、例の旧REDカンパニー、現レットエンターテイメントです。
で、プロデューサーのイメージとしてはキングレコードの大月さん。
もっとも名前とイメージ以外に特に他意はありませんのであしからず。



Chapter33のケン


ケンが出来損ないのA級ジャンパーという設定は元々このChapter33の為に考えられました。
とはいえ、当初の構想ではルリが殺されそうになるところを火事場のくそ力でジャンプして助ける・・・ってぐらいの内容でしかありませんでしたが(笑)
だから正味の話、当初の構想通りでは最初と終わりだけでChapter33は終わりだったワケです。だからかなり話数の見積もりが甘くなってたりします(汗)

ある意味、ルリ×ケン気味だったストーリー展開はこのシーンを想定してのこと。
そういった意味ではルリ×アキト派の人を少しヤキモキさせたかもしれません(苦笑)
とはいえ、ルリがアキト以外の男性に目を向けるというシミュレーションに興味がなかったわけではありません。
最終的には少しルリ×アキト気味に終わったことは否めませんが、個人的にはもっといろんな人に目を向けて欲しいと思います。ルリルリには。



The End of future


 んで、出来損ないのA級ジャンパーがいきなりボソンジャンプしてうまくいかないだろう・・・ってことでどっかワケのわからないところにジャンプさせようというのが「The End of future」となります。
イネスの姿をしたのは古代火星人(多分)が本当はもう少し夢幻城の謎なんかをベラベラ話してくれるはずでした。んでそれを又聞きしたユリカが夢幻城の攻略法を思いつく・・・っていう流れになるはずでしたが、結局はぼかしたままでした(笑)
でもその名残は一応あって

「それと同じでボソンジャンプも出来ないように設定されている・・・はずなんだけど、あいつめ!何をサボってるんだか!」

って台詞は彼女が夢幻城に対して苛立ちをぶつけたということです。

ちなみに彼女が例えに出したある宗教家っていうのはキリストをモチーフにしています。詳しくは「司会文書の謎(柏書店)」を参照ください(笑)
意外かもしれませんがイエスは元々ユダヤ教のエッセネ派の人で、エッセネ派自身は今でいう武闘派に近いんです。でユダヤ教自身は律法と呼ばれる戒律が厳しくて・・・っていうのがあの話の元ネタです。

で、ここで裏ネタとしては彼が古代火星人の末裔だったということです。
たまにそんな人間が突然変異的に現れる。でも、ほとんど奇跡に近い確率でしか産まれないという。
そんな人間達が大昔演算装置と夢幻城の内容を書き残していた、それを東郷達は解読していった・・・というのが裏の流れになります。

あと、テンクウ・ケンもほんのちょっぴりその末裔だったかもしれません。
ただしあくまでもほとんど他人に近い親戚ってところですが。
(やっぱり遺跡に直接遺伝子をいじってもらった方が血統的には近いんですねぇ)

なお、最後にイネス(仮)の正体は最後の最後まで迷ってました。
で、結局はイネスは古代火星人らしいまま終わったのですが、その名残が最後の方の会話になっております。

そう、本当はイネス(仮)は彼の親友だったかもしれません。
「懐かしい感じがする」
ってのはそういう意味です(笑)

なぜケンの親友だった男があんな所にいたかというのは・・・そりゃ、物語的にはその方がかっこいいだろうっていう奴です(笑)



Chapter32〜34の時間の流れに関して


ここのところ、一旦ルリが殺されてナデシコが全滅したのをケンが過去に戻って救った・・・っていう風に見えますけれど実際には違います。

実際にはケンというプレイヤーがルリが刺される時点で物語の進行を拒否。
で一旦ゲームを放り出すわけだけど、時読みの能力によりルリの死及びナデシコ艦隊全滅の未来予測を見てしまったあと、The End of futureへ辿り着き改心、そしてもう一回ゲームを再会して違う選択をして未来の光景を変えた・・・って事になります。

まぁいわゆるセーブポイントからやり直しに近いんですけど、時間的には少しも進んでいない。物語的にはほんの1秒未満の間にあれだけのストーリーが進行した・・・って事になります。

だから可能性のジャンクションは使ってないんですね。実は(笑)



アキトの心の問題


Chapter34でのメグミの活躍はある意味嬉しい誤算でした。
メグミには元々ペルソナの人格にアキトの触れて欲しくない心の奥底を突っついて欲しかったのですが、プロットの当初からここまでの活躍をするとは思っていませんでした。

アキトの心の問題はある程度どこかで彼自身に見つめさせるつもりだったのですが、その水先案内人をメグミに任せたのは彼女が活躍し出してからです。

この当たり、緻密に考えられているようでいても実はあんまり考えていない場合もあります。
筆者としてはメグミの心の中にアキトを潜り込ませる・・・って設定を考えた後はあっという間にストーリーが膨らみました。ほとんど自動書記状態です。そこに打算も計算もありません。あれは思いつきをそのまま順番に書いてそれがそのまま物語として成立しているものなんです。
だから天の配剤という言葉があるように私は人物を配置しただけで、後はそれぞれのキャラクターが己の役割を主張して物語を紡いでいくという好例かもしれません(笑)
それだけナデシコのオリジナルメンバーの個性が確立されているって事のなんでしょうね。

・・・おっと、アキトの心のことを全然書いてないや(笑)

当初はアキトの負い目であるスタンピードの一件が片づけばOKかな?とか思ってました。でも最終的にはアキトがなくしたものはなんだったのだろう?って事になりました。
昔の甘いままの自分が嫌で捨ててきた、忘れたフリをしたアキトが元のアキトに戻るには何をすればいいのか?
私は幸福だった頃の記憶があれば、その記憶を思い出して笑えるのなら、それで十分と考えます。

人によってはあの状態でもまだアキトが昔のアキトに戻れてないとか思われる人もいるかもしれません。
でもアキトは笑うことが出来た。
昔のことに目を背けることなく笑うことが出来るようになったのなら、たとえ昔の甘いままのアキトでなくても大丈夫なんじゃないかな?とか思ったりします。

まぁ気分的にはあのアキトがそのまま黒プリでアキになるわけですから、必ずしも全ての心の問題が解決しているわけじゃないんですけどね(汗)



黙示録と夢幻城


えっと結論からいうとほとんど関係ありません(笑)
これもミスリードを誘おうとした結果といえば結果なのですが、実際の所、神話にしろなんにしろ、似て非なる伝説はたくさんあったりします。
根は同根・・・って事もたくさんあったりします。

ですから、ひょっとすれば誰かがアキトみたいに見た夢を黙示録として書き残していたとしても不思議ではありません(と言い訳してみる(汗))



夜天光零式


なんか用意がいいなぁという夜天光零式なのですが、
まぁこれはなんというか、ボスキャラのお約束なんですけれど(笑)

一応は夜天光改のさらに改良バージョンで、エネルギー供給をエステ同様夢幻城から供給を受けるという特殊な作りになっております。
このため夢幻城内部と限定すれば作戦時間は無限大、エネルギーも使い放題となります。
んで、ジャンプイメージを夢幻城に伝達するための特殊なデバイスが装備されています。
(これはユリカと遺跡と融合させていたときの実験結果が利用されています。)
このためほぼゼロ距離の精度でボソンジャンプが実現可能、
夢幻城自身のコントロールもこの機動兵器からできるという機体に仕上がってます。

だからこの機体も実はハッキングデバイスでナイチンゲール同様セキュリティーサーバーになっているのでこの機体を倒したら火星の後継者の艦隊をシステム掌握出来るという寸法になっています。



エンジェル達


黙示録に出てくる封印の天使とはなんの関係ありません。
以上

で済ますのもとてつもなくまずいのでいくつか(笑)

あのエンジェル達は元々夢幻城の守護者達です。
たぶんリベ2世界では絶対に倒せない設定になっています。
そんな卑怯な!
とかお思いでしょうが、アレはネットゲームでいうところのゲームキーパー、管理人に近いんです。だからやっつけられないようになっています。
本来向かっていく方がおかしいんです。

なにげなく黙示録の封印の天使に似てますが気のせいです。
というか、封印の天使のモデルはコイツら・・・って設定も成り立ちます。

で、本当は天使わらわらってのを考えてエンジェル達を書いたのですが、そう言えば封印って7つしかないなぁ・・・と気づいたので出したのがコピー達。
この当たりは書きながらその都度登場させていたのでかなりいい加減に見えます(汗)

だから、プレートを手に入れてからコピーを作る暇なんてあるのか?
と言われれば・・・物語のノリですと答えてお茶を濁しておきます(汗)
(まぁこじつけ王の私ですから理由を付けろと言われればいくらでも考えつきますが)



夢幻城とプレートの謎


さてさてリベ2の一番書きたかった動機ですが、
「アイちゃんのプレートはどうなってん?」
というのが一番の理由です。

で、古代火星人が迷い込んだ未来人に何を渡すだろう?
ってことを考え始めめ、ボソンジャンプのおかしな点・・・東郷が作中で指摘した疑問ですがそれを膨らませたのが一連の設定になります。
ストーリーのかなり初期の段階からChapter37、Last Chapterのプロットは出来ていました。全てのストーリーはその逆算で書かれています。

そういった意味で、これはもしTV版の制作スタッフが様々な謎に決着をつけた続編を作る場合、どうするのだろう?とシミュレーションしたものと言えます。

惜しむらくは2クールか4クール分に奇麗にわけたかった所です(笑)



ブラックサレナに乗れるユリカ


リベ2はTV版、劇ナデが残してくれた素材を余すところなく使用しようとしています(笑)
その極めつけはラストにユリカがブラックサレナで夜天光を撃つところ。
忘れている人も多いと思いますが、ユリカはTV版ラストでIFSを持ったのでエステバリスを動かせるんです。
(実際The Missionではユリカと戦闘訓練出来たりします)

で、さりげなくユリカがホワイトサレナの操縦を手伝っていた・・っていうのはこのシーンのための伏線でした。
どれだけの人が想像ついたんでしょうね?(笑)



Last Chapterのタイトル


Last Chapterのタイトル「たった一つの冴えたやり方」の元ネタですが、EVAを知っている方ならひょっとしてピンときたでしょう。

そう、EVAの最終話のタイトルからいただきました。
とはいっても、企画書の話。
EVAの企画書には最終話までのタイトルと内容がざっと書いているのですが、その最終話のタイトルが「たった一つの冴えたやり方」なのです。

今となっては企画書通りにストーリーが進んでいればどんなお話になっていたかわかりませんが、ウチのお話も「冴えたやり方」で解決したのやらどうやら(笑)

っていうことで、一応ライナーノーツとしてはこれで最終回ということになります。
あれやこれや書こうかな?と思っていることは残っているのですが、なんかすぐには思い出せません(汗)リクエストがあれば続きを書こうかなと思います。

ご愛読ありがとうございました。では!