Appendix:Liner notes
−ライナーノーツ6−
というわけで、一応本編では語られなかった裏話やらを乗せておきます。
現在進行形のネタが切れれば順次更新します。
Second Revenge編ではちょっと志向を変えて現状(今回はChapter1〜12まで)のストーリー設定などを載せていきたいと思います。
■テーマソングについて
一応イメージ的には「ROSE BUD」です。
DC版The Missionの主題歌ですが、CDでも「劇場版ナデシコ特別編」や「電子の妖精ホシノルリ」にも収録されているので試聴されてみるのをお薦めします。作品的にはあの曲のイメージに浸って書いていることが多いので。
■タイトル"Second Revenge"について
基本的な意味としては火星の後継者達が二度目の復讐を行うところから来ています。(一度目は南雲の反乱です)
ただし、それ以外にも「Princess of Whiteでやりきれなかったところを書こう」とか、「The
Missionがおいしい素材を使用しながらもストーリーを振り返ると結局どういう話だったの?」などという不満点に対するRevengeの意味もあります。
まぁ、単純にNadesico Second、Nadesico 2って名前を付けたかったけど既に他の人に使われていた・・・っていうのが一番の理由かもしれませんが。
■劇ナデだけで終わるもったいなさ
Second Revenge編では劇ナデで出てきた魅力ある設定があのまま終わるのがもったいなくて始めました。
考えただけでもネタはごろごろしているんですよ。
アキトをどうやって普通の生活に戻そうとか、
ラピスの活躍とか
ルリとユリカの大暴れとか
サブロウタ、ハーリーを含む脇役のその後とか
プレートの謎とか、遺跡の謎とか。
特にプレートの謎や遺跡の謎は本編中に徐々にネタフリしておりますがこれらは終盤に全て絡んできます。
気持ちとしてはナデシコの続編として十分通用する内容を目指してます。かなり大それていますけど(笑)
■アキトの症状に関して
アキトの症状に関しては賛否両論があると思いますがこれはPrincess
of Whiteでルリの症状を考えていた時からペアで考えていました。
従ってどちらもタイトルが「帰らぬ理由」になっております。
のっぴきならない理由で帰れなくしたのは、アキトにあまりネガティブな思考をさせたくなかったというのもあります。今更アキトに「甘ったれるな」といって終わるストーリーにしても辛いなと考えたからです。
(たぶん私自身がそういったウジウジしたアキトを書けないと思う)
科学考証的な設定はこんな感じです。
アキトの知覚障害は感覚用の神経組織の情報が大脳に対してうまく情報変換されずに受け渡されることが原因だった。火星の後継者達の実験によりこの部分を司る脳の部分に注入されたナノマシーンが異常を起こしたからである。
脳の部位が余りにもデリケートな場所にあり、ナノマシーンを除去することは当時の医療手段から見ると不可能に近かった。このためナノマシーン本体の異常状態を修正しないといけないのだが、悪いことに遺跡へのイメージ伝達用のナノマシーンにより変質していたのだ。
このため修正が容易ではなく、治療は困難と見なされた。
解決策として一旦、神経組織の情報を正常な人間に転送し、そこで正常な情報変換をした後、バイパスを通じて直接相手の大脳の中枢部に送り込むという手法が考えられた。
これはIFSの原理がそのまま応用できるからである。
一度リンクさえ張っておけば特に意識することもなく生活できる。しかしこの手法は幾つかの欠点があった。
一つはイメージ変換の能力が完全にリンク先の相手の能力に依存してしまうということである。たとえばアキトの味覚はラピスの味覚レベルしかないということである。
また、記憶もある程度共有してしまうことになる。
何よりも最大の欠点はナノマシーンの暴走に全く無力であるという点だ。
これは相手のロストした感覚をどこまでリンクするかにもよるのだが、アキトの様な患者の場合、互いの精神的な防壁はないに等しい。
このとき暴走すればどうなるかは想像に難くないだろう。
アキトのナノマシーンの暴走はもっともたちが悪く、記憶の強制再生と他のナノマシーン保持者への無差別なリンクにある。
特に後者の場合、IFS保持者にはコミュニケ、ウインドウ通信網を使用し、A級ジャンパーは遺跡システムを使用してしまうという点にある。
幸いにもこれらの通信網から被験者を隔離するフィールドが見つかっているので全ての人を巻き込む・・・という状況は免れているが、今度は前者が足かせになってきた。
感覚補正のためのリンクはコミュニケの通信網を使用するため、サポート役の人物を記憶の逆流から防ぐ手段がなくなってしまっているのだ。
その間だけリンクをはずす・・・その手段はテンカワ・アキト以外の患者なら実行できたかもしれないが、アキトの場合は不可能であった。
自我意識の確立は通常、自己の存在を確認することにある。そしてその一番基本的な手段は肉体的な感覚神経からの刺激にある。
たとえば、息をしている、心臓の鼓動が聞こえる、肌に風を感じる、目が見える、耳が聞こえる等々である。
アキトの場合、それらは全てリンクによって供給されているが、それが断たれてしまったらどうなるか?
自己の存在を確認できない精神ほど脆いものはない。
そのうえ記憶の強制再生が自我を崩壊させるような内容ばかりの中で自我を保っていられないのである。
・・・なんていうのが現状の設定です。
■リョーコとサブロウタ
彼らは前半のストーリーを引っ張っていってもらう狂言回しになっていただきました。全てはChapter11
の為に。
アキトと真剣に関われるものと関われないものの違いを浮き彫りにするために。そのサンプルとしてリョーコに登場願ったわけです。彼女には少し残酷でしたが。
究極の選択を迫られてそれを選べなかったリョーコが決して心の弱い人物だとかそういう意味のストーリーではありません。彼女の生活はもうアキト中心ではないということです。そしてそういう人が首を突っ込むべきではない領域というものが存在するということです。
んで、そのリョーコを際だたせる為にサブロウタという人物を配置しました。最初にアキトに突っかかる人物としてサブロウタという人物がうってつけだったのもあります。
この二人により序盤でのアキトの立場を明確にしたかったのですが・・・どうでしたでしょうか?
■ラピスに関して
Chapter11の狼少女のエピソードはあまり信用しないでください。私自身、ターザンのお話とごちゃまぜになって覚えておりまして、このストーリーの都合に合わせてしまっています。
ともあれ、この回のエピソードって当初の構想時点ではラピスの扱いってさほど大きくなく、アキトの苦しむ姿とエリナとユリカ、ルリの対決(?)が中心になる予定でした。
しかしふたを開けてみるとラピスのお話しが前面に出てきてしまってアキトの出番が割を食った形になっております。
■ナデシコ首脳陣の階級
現状のナデシコ艦隊の階級は総じて低いです。一般の軍隊なら提督なら准将以上となるでしょうが、ナデシコ艦隊ではユリカがやっと准将で副提督のルリやジュンでも中佐というところです。
これは筆者に新キャラを出すだけの根性がなかったというのが正直な話ですが、一応裏設定なるものは存在します。
ナデシコ艦隊は敵以上に味方からも敵視されていたりする。それはシステム掌握の強力さ故であるがそれは同時にホシノ・ルリという個人の能力に依存することである。裏を返せば彼女の所属する艦隊はそれだけで権力となり、それを覆すだけの戦力も存在していないことになる。
本来ナデシコ艦隊は第3次火星極冠事変の為の暫定的な組織であり、それが恒久的な組織になっては困るのである。そうなれば誰も彼女の部隊に刃向かえなくなるから。
ミスマル大将率いる宇宙軍は政府や統合軍などが当然持つ政治的な心配を十分考慮していた。提督に大将や中将などの権力のあるものを据えると、ナデシコ艦隊の恒久化を図っている・・・そういう憂慮を排除する必要があった。
このために提督を無位無冠だった娘ユリカを強引に准将に昇進させて、中佐であるルリに副提督という名目を就けてこのあたりの階級のものをトップとして制限することを内外に示した。
あくまでもこの組織は一時的なもので、彼らの役職は組織の体裁を整えるための単なる形だけということにしたのだった。
・・・てな具合です。
Later chapter is now printing....