−アバン−

帰れぬ理由がある。
たとえそれが他人にとって、とるに足らないことであっても
たとえそれが只の意地であっても

誰にでもかけがえのない宝物があるように
誰にでも忘れ得ぬ日々があるように
それなしでは自分でいられないのだから・・・


−宇宙シャトル客室−

さて、ナデシコクルーを乗せて東京国際空港を飛び立ったシャトルであるが、ようやく親機の安定航行コースに乗ったようだった。
ポーン・・・シートベルトのサインが消えた音だ。
『しばらくの間おくつろぎ下さい』
一同、そのアナウンスにホッとしたのか、シートベルトを外してリラックスし始めた。
とちょうどそのタイミングを見計らって・・・
「お飲物はいかがっスかぁ!」
「「「ええ!」」」
一同、その声に振り返る。元ナデシコクルーなら絶対に聞き覚えのある、鼻にかかったよく通る少女の声。
「ビールにコーラ、ジュースに水割り、おつまみもありますよん。」
マジックよろしくポテチを出す売り子さん。そう、白鳥ユキナであった。と、なぜか同じく売り子姿のアオイ・ジュン・・・結構恥ずかしそう

「おお、かわいい!」
「さすが陸上部、見事なおみあし」
「ちょっと、ユキナ!!」
幾つかの冷やかしを打ち消すかように烈火のごとく怒りだしたのは当然彼女の保護者ハルカ・ミナトであった。

「私、冷やし飴」
「ドリアンジュース」
「はーい、ただいま!」
そんなことを無視してヒカルとイズミのオーダーを受けるユキナの行動はミナトをさらに怒らせた。
「何であんたがこんなところにいるの、学校は!」
「今、夏休みだよ〜ん!」
「部活は?インターハイは!」
「それは再来週。どのみち作戦が成功しなきゃ中止でしょ、きっと」
「う〜〜〜〜!」
その主張が正当かどうかは別にして、自分の追求をことごとくかわされてしまったミナトは怒り心頭となった。
「バカ!いいから今すぐ降りなさい!!」
「やだよ〜ん。アッカンベロベロベッカンベー」
こういう時のユキナは何とかの耳に念仏である。

「く!!ジュン君、あんたがいながらどうしてこういう事になったのよ!!」
と、怒りの矛先をジュンに向けたが、それは無意味だった。
「きゃぁ、かわいい!!」
「ねぇねぇ、ブリーフ?わ、紫なんだ〜〜」
「わぁ、やめて下さい!!」
当の本人は既に女子クルーにおもちゃにされていた。
「その格好じゃ何言っても説得力ないよね」
「うん・・・」
「「キャー、かわいい!!」」
ヒカルの一言はまさにその通りだった。

「この一件、取りあえず月に着くまでお預けにしません?どうせシャトルは急に止まれませんし」
割って入ったユリカの妥協案が至極もっともな解決法であった。
「そうそう、お預け、お預け」
「ユキナ、あんたいつか絶対痛い目見るよ!」
「はい、はい」
立て板に水、ミナトの忠告にも全然わかってないような返事を返すユキナであった。



Chapter13 「Fly me to the Moon」で行こう!




−シャトル・成層圏付近−

さて、ナデシコクルーを乗せて東京国際空港を飛び立ったシャトルであるが、今し方親機の予定高度に達し、子機を切り離した。子機のシャトルはそのままメインブースターを点火して成層圏を突破しようとしていた。

−シャトル・客室−

「メインブースター燃焼!!」
「5G、6G」
「耐えるのよ、耐えるのイズミ!」
「おおおお・・・」
苦痛にゆがむヒカルとイズミだが・・・

「何やってるんだ?あの二人。」
「昔のアニメの大気圏突破ゴッコ・・・だそうですよ」
「へぇ〜」
「「ふう〜〜」」

−シャトル・乗務員更衣室−

「ちなみに23世紀現在、重力制御システムのおかげでりシャトルは快適楽チンです!」
解説ありがとうユキナ君。だがいくらなんでもジュンと一緒に着替えって・・・まずくない?

−シャトル・コックピット−

シャトルは無事成層圏を抜け、無事に月軌道へ乗ったようだ。
コックピットのゴート、リョーコ、サブロウタは安堵のため息をもらす。
「静止衛星軌道に到着。」
「やれやれ、とりあえずここまでは」
「順調じゃない!!」
ゴートとリョーコの声を遮ってコックピットに乱入してきたのは無論、ハルカ・ミナトだった。

その怒り心頭の様にゴートだけではなく、リョーコやサブロウタすら視線を逸らした。
「ミナトか、どうした?」
「知ってたんでしょ?」
「何のことだ?」
「とぼけないで!」
バン!と手近なパネルをたたくミナトにとぼけても時間の無駄だとゴートはため息をついた。
「白鳥の妹のことか?」
「やっぱり知ってたんだ!どうして教えてくれなかったの!」
「無用の混乱を避ける為だ。」
「無用!?」
「まぁ、聞け」
一端、間をおいてミナトを見つめるゴート。彼女が少し落ち着くまで待つ。
「あの子は木連の英雄、白鳥九十九の妹だ。
 暗殺を命じた草壁にとってはアキレス腱になりかねん。
 その意味では艦長と同じように、次に誘拐されるのはあの子かもしれん。
 一人で置いておく方が危険だ。」
「あ・・・」
ミナトは自分が失念していたことを指摘されて、ゴートを少し見直した。昔の恋愛事情とは別に、ゴート・ホーリーの心の中でも白鳥ユキナはナデシコの一員だったのだ。

「おーい。護衛艦隊と合流したぞ!」
前方に連邦宇宙軍の護衛艦隊が彼らを待っていた。


−シャトル・客室−

『お待ちしておりました。私は当艦隊を指揮するアララギです』
護衛艦隊のアララギ大佐からの通信がユリカの元に入った。
「私がナデシコの艦長テンカワ・ミスマル・ユリカです。
 こちらこそよろしくお願いします。
 ブイ!」
『いえいえ、女神の護衛はナイトの栄誉』
「はい?」
アララギの発言にキョトンとするユリカ。
『宇宙に咲きし百合の花、「星空の女神」ミスマル・ユリカ。
 兵士達があなたのことを「星空の女神」と呼んでいるんですよ。
 まさに、凛々しい」
「やだ〜〜女神様なんてユリカ照れちゃう。まぁ、可愛いってのはその通りだけど・・・」
と、珍しく誉められて身悶えするユリカ。が、見かねてジュンが咳払いをする。
「こほん」
「は、勝手に盛り上がっちゃって済みません。
 それでは兵士達の方々にもよろしくお伝え下さい。
 では!ビシ!」
最敬礼をするユリカ。こういうところは軍人らしい。


−護衛艦隊旗艦ライラック・ブリッジ−

「ミスマル大佐、おもしろかったですね」
「ああ、まさに『星空の女神』、最近は可愛くて尚かつ愛嬌あるほどおもしろい才女は珍しいからな。まさに宇宙の宝。」
とはアララギの言である。
実は宇宙軍、連合軍問わずユリカのファンは多く「星空の女神」などと呼ばれている。
布教者は秋山源八郎と言われているが定かではない。
が、この人達どういう感覚をしているのだろう?という感が否めない。
元ナデシコ時代の活躍(?)が伝説となって誤って伝わってるようだが、まことに恐ろしい限りである。
「今のばっちり録画できました。」
「よし、後でみんなに見せてやろう」
と、アララギの発言にて和んでいたライラックのブリッジであるが、それは一つのオペレータの報告にてかき消された。
「ボース粒子反応、前方5000キロ!!」
「何!」
そう、そこは既に戦場だったのだ・・・。


−火星の後継者・奇襲部隊−

ボソンのキラメキが消えて、それは実体を現した。
火星の後継者の機動兵器「積尸気」の奇襲部隊であった。その数40機!

『我が前方に敵の船団確認!』
「戦艦、駆逐艦・・・民間シャトル!これだ!
 諜報部より情報のあった秘密工作船!」
奇襲部隊の隊長機から全機に目標を打電した。
「各機、戦艦には目をくれるな。シャトルのみをねらえ!」
戦闘の幕開けだった。


−護衛艦隊旗艦ライラック・ブリッジ−

「全艦、最大戦速で菱形紡錘陣形をとれ!シャトルの周りを固める!」
アララギの的確な指示が飛ぶ。確かに護衛艦隊としては正しい行動だ。が、それがナデシコクルーにかかるとこうなる。
『シャトルが先行しますのでよろしくお願いしまーす。』
「なに!」
無論、ウインドウの主はユリカである。


−シャトル・コックピット−

「ハーイ!これからは本職の出番ね!」
ゴートと席を替わってミナトがメインの操縦席に座った。
「各員着席の上、シートベルトを着用。対ショックに備えよ!」
ゴートがその間テキパキと指示を出す。ミナトが手をぴらぴらと振って準備運動をしているのを見ても不安を持っていないところをみると、ゴートはミナトの操舵の腕に信頼を置いているようである。

「でも、ハルカさんに任せて大丈夫?俺等がやったほうがいいんじゃ・・・」
サブロウタが不安げにリョーコに耳打ちする。
「おめぇ、知らないだろう?
 ミナトさんはなぁ、資格マニアなんだよ。海上船舶、宇宙船舶、航空機、四輪車などなど・・・全て第一種非限定保有者なんだよ」
「うそ〜!」
「なんでも、社長秘書している時に公用車の運転もしてたんだってさ。それから資格とるのに目覚めたらしい」
「へぇ・・・」
「特に俺達パイロットのようにIFSやイージーオペレーションみたいなシステムに頼らないマニュアルの操縦に関してはナデシコじゃ一番さ。
 ま、正操舵士が艦をほっぽっといて戦闘機に乗るわけにもいかないし、さりとてナデシコ自身はオモイカネだけでも運用可能なんでお気楽に操舵できていたように見えるけどな」
「実はすごい人だったんだ・・・」
そのわりに現在教師をしているのは・・・無論資格マニアゆえに教員免許も持っているのもあるのだが・・・パイロットをやるとユキナの面倒を見れないというのが一番の理由らしい。

「よっし!」
がしっと操縦桿を握るミナト。やる気満々である。
「要するにうまく敵を突っ切っちゃえばいいわけね?」
『はい、全速力でかっ飛ばしちゃって下さい』
「はーい」
艦長であるユリカの指示はいつも単純明快で的確だ。それは各個人の能力を踏まえた上で、相手の度量を信じているからだ。

シャトルはメインブースターを全開にして敵包囲網を抜けるべく急加速していった。


−火星の後継者・奇襲部隊−

「何!シャトルが先行だと!!」
そう、自分たち奇襲部隊をめがけて敵の目標のシャトルがつっこんできたのである。
「死ぬ気か!返り討ちにしてくれる!」
奇襲部隊の隊長はそう息巻いた。しかし、彼らは大事なことを失念していた。

ナデシコクルーの選考基準
「人格面に問題点があっても能力は超一流であること!」
それはこの場合でも当てはまった。


−再びシャトル・コックピット−

ミナトの操舵はやはり本職だけあって流石だった。
「ディストーションフィールド出力80%、まだ行けるぞ。」
「もうちょいもうちょい!」
敵機動兵器からの攻撃の雨あられだったが、ディストーションフィールドで防げる攻撃はあえて避けず、必要最小限の回避運動だけで済ませている。その為、最大加速を殺すことなく直進コースがとれている。

そして・・・

「よし!突っ切った!!」


−再びライラック・ブリッジ−

さて、シャトルに突っ切られた「積尸気」部隊は一瞬目標を見失って棒立ち状態に陥った。
アララギはそこをすかさず集中放火した。
目標であるシャトルと眼前の敵艦隊、そのどちらに対処するかで戸惑った隙を狙った見事な攻撃だった。

「敵は攻撃目標を見失って棒立ちだ!。
 本艦隊はこのまま敵を撃破しつつ前進!
 敵を突破した後はシャトルの壁となる」
「了解!」
「死中に活あり、さすが星空の女神」
もっとも効果的且つ被害の少ない戦法・・・ユリカの取った作戦に感心するアララギ。だが、それも次の警報によって打ち消された。
「シャトル進行方向にボソン反応!」
「何!」


−再びシャトル・コックピット−

「積尸気」部隊の第二陣が現れた。シャトルの進行方向にである。

「まずい!併走される」
「え〜〜話が違うわよ!」
そんなゴートとミナトの言葉を裏づけるようにウインドウが示す予想図には併走されてタコ殴りにされるシャトルの図があった。

「おい、なんか武器とかないのか?」
さすが、パイロットのリョーコである。が、それをゴートがそっけなく否定した。
「偽装する時に外した」
「そりゃ律義・・・」
サブロウタの苦笑混じりにつっこんだ。
ゴウ!!シャトルが被弾した音だ。
事態はまずくなる一方だった・・・


−なぜなにナデシコ・ユーチャリスとナデシコC編−

皆様お久しぶり、白百合です。
前回と前々回はお休みしてすみません。ちょっと自己嫌悪に陥っていてたんですが、もうすっかりよくなりましたからご心配なく。

さて、私がお姉さんを勤めるなぜなにナデシコも今回が最後となりました。どうせ、次回からはほっといても初代お姉さんが嫌というほど説明して下さいますし、私はあくまでもあの人の代理ですので、はい。

さて、最後のお題はユーチャリスとナデシコCについてご説明しましょう。
共にワンマンオペレーションシステムを搭載した次世代ナデシコ級戦艦ですが、その両者には明確なコンセプトの違いがありました。

・ナデシコCはナデシコフリート(艦隊)の旗艦としての役割と敵システム掌握戦略の中枢として。
・ユーチャリスはそのサポート艦として戦闘支援の役割とワンマンオペレーションの限界点の追求。
このコンセプトの違いは艦のブリッジを見ればよくわかります。

ユーチャリスは基本的にメインオペレータであるラピス・ラズリもしくはスーパーバイザーオペレータである白百合のワンマンにて全ての操舵を可能にしている関係上、ブリッジにはオペレータシートしかありません。
他にも端的に表れているのが居住ブロックなどで、数名のメインクルーの他はゲスト用の十数名分しかありません。
また艦載機はホワイトサレナ以外はバッタなどの無人兵器のみです。また敵システムへのハッキングも可能ですが、これはどちらかと言えば無人兵器のコントロールシステムの強力さ故の結果といえましょう。
その他にもナデシコC用の機能試験の為に単独ボソンジャンプが出来たりと、まぁいろいろありますがその機能のほとんどがラピス一人の力で実行できる事がおわかりになると思います。

対するナデシコ級最強の戦艦ナデシコCですが、なんとワンマンオペレーション艦でありながらブリッジには操舵士から通信士、その他の通常オペレータシートが存在します。その理由はシステム掌握(通称妖精モード)にあります。
ナデシコCを最強の戦艦たらしめるシステム掌握はあまりに強力なシステムな反面、オペレータの能力と掌握する敵の規模によっては艦のコントロールまで手が回らなくなる危険性がありました。
従ってその解決策としてツインオペレータによるシームレスな負荷の調整機構と、あえて通常オペレータを各所に配置することによりシステム掌握を強力にバックアップしています。

ということで、両者の違いがわかりましたでしょうか?

それでは今までありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。
ペコリ


−再びシャトル・コックピット−

併走されつつ攻撃されるシャトルであったが、まだまだ攻撃を避けつつ逃走を続けていた。
「甘い、甘い!」
素早く再度パネルの操作をするミナト。さすがに操舵士の血が騒ぐのか緊迫感の中にもどこか楽しそうだった。
が、事態は刻々と悪化の一途をたどっていた。徐々に積尸気部隊に接近されつつあった。


−再びシャトル・客室−

「くううう!!」
「よぉ〜よぉ〜よぉ〜〜」
加速Gに耐えるヒカルとイズミだが、隣の整備班のクルー達は涼しい顔のままだった。
「なにやってんの、あの二人?」
「昔のアニメの急加速Gゴッコだそうですよ」
「ふぅん。さすがパイロットは余裕だねぇ」

「急加速!」
「ひょー」
「さらにここから加速して!」
「ひょー」
整備班のつっこみでもまだゴッコを続ける二人であった・・・


−再びシャトル・コックピット−

ゴウ!
とうとうシャトル後部のエンジン部分に被弾した。
「フィールド出力60%に減少!」
ゴートの叫びがコクピットにこだまする。
どこかで「あちゃー」といった声がするがミナトにはそれどころではない。さらに間の悪い事は続いた。
「ボソン反応前方50キロ!!」
「なに!」
サブロウタの報告に飛び上がらんばかりに驚くリョーコ。

前方の空間にはジャンプアウトしてくる船影が徐々に表れて来た。その大きさは戦艦クラスの様である。
「でかいぞ、これは!」
「ははは、まずさの二乗倍ねぇ・・・」
ゴートの叫びに顔を引きつらせながらもパニックにならなかったミナトもさすがナデシコクルーだった。

だが、そこに一つのウインドウが開いた。


−再びシャトル・客室−

同じウインドウは客室にも開いていた。
『グラビティーブラスト行っきま〜す!!』
「ハーリー君!?」
ユリカは思わずウインドウの主を見やって驚きの声をあげてしまった。


−ナデシコC−

ジャンプアウトして来たナデシコCは実体化しきる前に閉じていたナセルを開いて戦闘態勢に移行していた。既にエネルギーもチャージ完了、グラビティーブラスト発射口には重力波のゆがみが発生していた。

それと気づいたミナトは面舵を一杯にきって射線軸からシャトルを回避した。
その直後ナデシコCよりグラビティーブラストが発射された!!

バババババ!!!!

重力波の奔流が敵の機動兵器部隊を襲う!
『緊急跳躍、逃げろ!!』
混乱の極みにある積尸気部隊の隊長は何とかその命令を出したが、とき既に遅くほとんどの機体はジャンプする機会を逸してしまった。

ゴウ!!

はるか前方で爆発のお花畑が盛大に開いていた。


−再びシャトル・客室−

『艦長、ミナトさん!今の見てくれましたか?』
ウインドウの主、マキビ・ハーリーは彼らを救ったのが自分だったのがうれしかったようだ。
『よ!俺様を出し抜こうなんてそうは問屋がおろさないからな!』
「「班長?」」
『おお、お前たち久しぶりだな!』
「セイヤさん!?」
ユリカは再び驚いた。
同じウインドウにひょっこり顔を出したのは、整備班長ウリバタケ・セイヤであった。
そりゃそうだろう。ウリバタケに関しては奥さんの手前、参加を告げずにいたのだ。

「セイヤさん、どうしてそこに?」
『こんなこともあろうかと!ってな。
 先に来ていて正解だったぜ!
 ご都合主義だとわらわば笑え!
 だが見よ!この燃える展開!!
 見よ、このメカニック!!』
既にハイテンションになっているウリバタケには何も聞こえちゃいない。もっとも月に通いなれているウリバタケの事だ、どこぞのネルガル関係者から今回の作戦を聞いたのだろう。

「顔の引っかき傷、ありゃ奥さんのだ」
「ご都合主義も大変だね・・・」
イズミとヒカルのかつての仲間を見やる瞳は優しかった・・・。

『このニューテク、謎テク満載の展開に技術者魂が黙っていられないってもんだ!』
「あの〜〜どうでもいいんですけど
 ハーリー君、セイヤさん」
ほっとけばどこまででもしゃべりかねないので、ユリカがそれを遮った。

『『はい?』』
「どうやってボソンジャンプしたんですか?
 ご都合主義や熱血だけでボソンジャンプできるほどこの小説ってSF考証を無視してないはずですけど?」
ユリカのツッコミはもっともだった。そしてこういう場合のお約束もまたしかりだった。

「説明しましょう!」
案の定、現れたのはバイザーをとって少し恥じらいを見せる初代説明お姉さん、イネス・フレサンジュその人であった。


See you next chapter...


−ポストスプリクト−


この回、適当に切れるところがありませんでした。
なんか繋ぎの回のはずなのに、ひたすら長くて面白みの無いような・・・

火星の後継者達の決起のシーンは、コンサートのシーンなどとからめて別のチャプターという事で。
オリジナルな話も入るので以降劇ナデから構成が変わります。

では次回まで



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