十波と基が乗り込む観覧車「GIANT WHEEL」。
「365日の恋人」に登場する遊園地は一体どこにあるのだろうか?
さらに、あの観覧車のゴンドラは女性一人が
立ち上がっただけで簡単に揺れる物なのであろうか?
− 所在地特定 −
まず、十波と基が乗ったと思われる観覧車と同じものを探すべく、あの365日目の遊園地を特定してみよう。調査ファイル1〜2より秋吉家が名鉄沿線にあることが解っているので、「名鉄沿線に住む高校生が遊びに行ける遊園地・テーマパーク」であることは容易に想像できる。位置的には「愛知・岐阜南部・三重・静岡西部」の4地区が有力だろう。
この4地区にあり、乗り物が設置されている遊園地・テーマパークを数えると下記の10カ所である。
次に、作中で描写又はセリフによって表現された遊園地内の乗り物を調べると下記の6種類である。
登場頁 | 登場コマ | 名称 | 種類 |
65p | 4コマ | GIANT WHEEL | 観覧車 |
66p | 1コマ | | 垂直ループコースター |
66p | 3コマ | | 足こぎボート(?) |
66p | 4コマ | | お化け屋敷 |
66p | 5コマ | | ティーカップ |
67p | 1コマ | トップスピン | |
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先に上げた10カ所の遊園地・テーマパークで、登場する6種類の設備が設置されている場所を検索した結果、種類・名称とも完全に一致する場所は存在しなかった。しかし、観覧車の名称以外すべてが一致した場所が一カ所だけ見つかった…「ナガシマスパーランド」である。
<ナガシマスパーランド> URL=http://www.nagashima-onsen.co.jp/sp_land/ |
木曽川と長良・揖斐川の河口部に位置する長島温泉をベースにした一大観光地区内の遊園地。国内2台目の木製コースター「ホワイトサイクロン」を筆頭にして、絶叫系マシンを中心に37種類のアトラクションが設置されている。また、夏期(6月下旬〜9月中旬)には併設のジャンボ海水プールが営業される。 |
また、単行本「365日の恋人」93pの柱スペースに、日高先生御自身が365〜を執筆中にナガシマスパーランドへ行かれたとの記載もあり、その時の園内の風景を作中描写の資料とされた可能性が高いと思われるので、十波と基が出かけた遊園地は「ナガシマスパーランド」であることが推測されるのである。
− 現地調査 −
では、ナガシマスパーランドにある観覧車の概要を説明しよう。
<大観覧車オーロラ> |
直径83mの観覧車で8人乗りのゴンドラが60台設置されており、最頂上部90mの高さは園内にある他のどの乗り物よりも高い。1周にかかる所要時間は約15分。ゴンドラの形状は「365〜」に描写されているような丸形ではなく、箱形である。
注: | 園内最高頂の座は2000年8月に新設されたジェットコースター「スチールドラゴン2000」に7m差で奪われた模様。 |
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次に実際に搭乗し、ゴンドラ内で人間が移動した際、どの程度揺れる物なのかを実証してみた。
調査条件 |
調査年月 | 1999年12月 |
当時天候 | 曇り時々晴れ。風少々強し |
搭乗人数 | 8名(男性4名:女性4名) |
実証高度 | 搭乗直後(高度10m以下) |
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調査結果 |
実際に調査員が搭乗して、ゴンドラ内で立ち上がり少々移動してみたが、男性調査員が移動したときにはハッキリと解るほどの揺れが感じられたが、女性調査員が移動したときにはあまり揺れが感じられなかった。 |
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今回の実証では、ゴンドラ内が満員状態だったため、質量的に軽量な女性が移動しても全体的重量バランスが崩れず揺れが感じられなかった物と考えられるが、バランスを崩すに相当する質量が移動した場合、ハッキリ感知出来る程度の揺れが発生することが確認できた。作中では、2人しか搭乗していないので、女性一人の重量移動でも十分にゴンドラが揺れる可能性は十分にあると思われるのである。
また、今回の実証では、高所恐怖症のS調査員にも同乗してもらい、揺れたときの感想を聞いてみた。
S調査員の証言: | 「高い所はもう勘弁です・・・怖いよー(><)」 |
高所恐怖症の上、閉所恐怖症でもある調査員Sさんは、ゴンドラに乗った段階でパニック状態に陥っており、揺れたかどうかは既に問題外だった様である。 |
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作中の2人の動きからゴンドラが揺れた情況を推測してみよう。2人が相次いでゴンドラに乗った後、十波がしゃがみ込んでから立ち上がるまでの間、重心はゴンドラを支える軸上にあるためバランス的に安定していた。十波が座席に着こうと立ち上がり動いた為、重心が移動しバランスが崩れゴンドラが揺らいだのであろう。
なお、その後ゴンドラを意図的に揺らそうとする十波を止めに基も移動している。その時のゴンドラの揺れの大きさは十波が動いたとき以上であり、傾きの角度もさらに大きくなったと思われるのだが、直後の情況的に基はその揺れを認識できなかったものと思われる。
ところで、二人が連続6回搭乗して先に基が調子を悪くした「トップスピン」とは、いかなる乗り物であろうか?
<TopSpin> |
40名が座れるベンチ状の座席が支柱の先に設置され、支柱の回転運動により振り子のようにスイングしながら、座席そのものも回転運動するもの。激流に呑まれるボートのような動きをイメージしたものと思われる。 |
この乗り物にZ調査員が挑戦したので、その模様も合わせて報告したい。
| | 果敢にもTopSpinに一人で搭乗するZ調査員(写真左)と、それを見守る一同(写真右)。E調査員がつぶやいた「テレビ番組の罰ゲームの様だ」とは言い得て妙。 |
| | 動き出すTopSpin。最初は座席部分は水平を保ち続けるかに見えたのだが… |
| | 何度と無く回転する支柱。座席部分は支柱の動きと関係なく逆さまに固定されたり、突然開放され揺らされたりと予測不可能な動きをすることが解る。 |
| | 時には、地面に対し真っ逆様な状態に固定されて下りてくることもある様である。 |
| | 停止したTopSpinから下りてくるZ調査員。表情が無く寡黙に下りてくる様子に一同はかける言葉もなかった。 |
Z調査員の証言: |
_ | 「妙に冷静に乗れました。さかさまになってるって感覚が一瞬じゃないのはおもろかったっす。アップダウンによる胃の浮揚感が嫌な人でもそれなりに乗れると思う。スピン系が駄目な人はちとつらいかもだけど、基本的に前後に揺れるからそのシェイクが楽しめる人なら楽しい!
搭乗中に考えてた事は"三回はいけるなぁ"、と(笑)。六回は…無理だろうなぁ(^^;)」 |
Z調査員のもつ平衡感覚力が一般的であるかどうかは別にしても、TopSpinの動きを見る限り6回連続で搭乗することは身体的負担が大きく、基のように調子を崩す方が普通だと思われる。十波が基に「だっらしなーっ」と言っているが、平然としている彼女の方が一般的以上の平衡感覚力を持っていると考えた方が正しいのであろう。